あの日の約束を、【時透無一郎】

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「こんの馬鹿！なんでお前はこういうことを…！馬鹿にも程があるだろ！」




「兄さん声でかいよ」




「安静にしてろってあんなに言ったのにお前は…！」




「だって放って置けなかったんだもん…」



病室のベッドの上、いつもよりさらに眉を吊り上げた兄に怒鳴られる。




「だもんじゃない！なにも抱き抱えなくても良かっただろうが。せめてほかに助けを呼ぶとかだな…」




まあ、確かにそうなんだけど…


あの時は、助けなきゃ、ということで頭がいっぱいになってあんまり深く考えられなかった。


兄さんが怒るのもごもっともだ。



あの後Aを受付の女性に預けたあと、自力で戻ってきてバレなかったかと思ったけれどどこから伝わったのか主治医の先生にも怒られ、その後兄さんにも伝わり、


今絶賛怒られ中だ。



Aは大丈夫だったのかな…

それだけが心配で、色々言われても頭に入ってこない。





「無一郎ー！？聞いてるのかお前は！」




「はいはい。だから聞いてるって。もう眠いから寝ていい？」




「お前…」




「いてっ！」



兄さんにも限界が来たようで、上から拳骨を落とされる。




「入院1週間伸びるらしいから、今度こそ大人しくしてろよ。あとその松葉杖もつける期間伸びたから」






「え、1週間伸びるなんて聞いてないよ。僕なら大丈夫だからさ、」






「先生の指示だ。自業自得だろ。少しは反省しろ。いいか？大人しくしてるんだぞ？」





大人しく…


まあ少しAの様子見に行くくらいは…





「…分かったな」



「はい。」




きつく睨まれ、たぶん、と言おうとした口を閉じる。




これのせいで看護師さんによる定期的に見回りという名の見張りが着くらしい。



動きたくても動けない。




そっぽを向いて出ていく兄を見送る。




「A、大丈夫かなぁ…」




詳しいことは何も聞いていない。





ベッドの縁に寄りかかり、窓の外へやり場のない視線を向けた。

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