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「ストーカーって、傷つくんだけど。違うし」
「いや、だってどう考えても…まず手放して貰える?」
迷惑そうに顔を歪める。
「やだ。だって逃げるじゃん」
「当たり前でしょ。知らない人にいきなりて掴まれて」
「知らない人、じゃないよ。」
少なくとも、僕にとっては。
でもやっぱり、君は覚えていないようだ。
「だから知らないって!怖いからっ、」
逃げようとするから、腕を掴む力を強くする。
「…痛い」
「あ、ごめん」
咄嗟に手を離す。
「隙あり!」
え、という前に僕の手を振り払い、病院の外に出ていってしまう。
逃げられる、と追いかけようとして、ふと足を止める。
今追いかけてもまた嫌そうな顔をされるだけだろう。
こんなことして、意味なんて無いかもしれない。
でも今とめないと、せっかく今会えたのにまたバラバラになってしまうんじゃ…
迷っているうちに背中が見えなくなってしまった。
もうこの足で追いつくことは無理だろう。
「きゃーっ!」
「ちょっと!大丈夫!?」
「人呼んで!」
さっきAが走っていった方向が騒々しくなっている。
嫌な予感が胸を掠め、急ぎ足で出口を出る。
「っ、!」
見ると、倒れている女の子の周りで人がザワザワとしていた。
あの倒れているのは、
「A!」
松葉杖を捨て、片足を引きずりながら駆け寄る。
息、はしてる。でも顔色が悪い。
そういえばさっき手を掴んだ時も冷たかったような気がする。
どうしよう。
ここに集まっているのはほとんどが年配の人だ。
僕がどうにかしないと…
Aを抱き起こして横抱きにする。
Aの体は、想像していたより何倍も軽い。
立とうとした瞬間、足に激痛がはしった。
「いっ…!」
「ちょっと、あんた足怪我してるんじゃないの!?」
「大丈夫、です」
あー、ほんとにこの足さえ怪我してなければ。
でもとりあえず受付まで運べばどうにかしてくれるはず。
こんな足の痛みは昔受けた傷より何倍もマシだ。
それに、今は僕なんかよりAの方が心配だ。
心配そうにするおばあちゃんに笑顔で答え、Aを抱き抱えたまま歩き出した。
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優衣(プロフ) - 夢じゃなくて、本当になればいいのに😭続き楽しみにしてるよ✨ (5月7日 22時) (レス) @page12 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
優衣(プロフ) - 夢主ちゃんがまた、消えてしまうんじゃないかって思うと怖い、、、続き楽しみにしてるよ✨ (4月13日 19時) (レス) @page12 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - 優衣さん» コメントありがとう!ごめん結構更新遅れた…優衣ちゃんからのコメント毎回ほんとに嬉しいよ😭💕これからもマイペースすぎると思うけどよろしくね! (3月14日 18時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
優衣(プロフ) - 夢主ちゃん、どこが悪いのかな❔無一郎あとすこしで退院するんだ😊続き楽しみにしてるよ✨ (3月10日 0時) (レス) @page11 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - シルビア★姉貴さん» ごめぇぇんっ!!だよね!?この新作も前から温めてたやつで…😭😭シルビアちゃんチャットの方見れる??そっちで話したい! (2月28日 16時) (レス) id: 814390a70f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寺乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mui08081/
作成日時:2024年1月22日 18時