夢_2 ページ5
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『童磨さーん?』
はっと気づくと、あたりは夜だからか真っ暗で、カンテラを片手に持った桜色の着物を着た女の子がひらひらと俺の前で手を振っている。
「…A?」
『どうしたんですか?急に立ち止まって』
「いや、なんでもないよ。」
『もう私眠いですよ〜。童磨さん夜しか外出られないから、こうして散歩付き合ってあげてるのに、ぼーっとしちゃって。本当は童磨さんも眠いんじゃないですか?もう帰りましょうよー』
ムスッとした顔で、でもどこか楽しそうに言う。
「んー、まだこうしていようよ。眠いなら俺がおぶってあげようか?」
『子供扱いしないでください。もう私13ですよ?わかりました歩きます。』
13、ということはもう昨日の夢から7年も経っているのか。
居なくなる3年前。
確かに、最後に見た時より少し幼く見える。
『童磨さん、人って、死んだらどうなると思いますか?』
唐突にそんな事を聞かれる。
昔こんなことを聞かれたことはあっただろうか。
「…Aは、どう思うんだい?」
『無になるだけじゃないかな。何も感じなくなる。意思も、感情も何もかもなくなって、ただ土に帰るだけ。あっ、でもね、生まれ変わりはあると思う。』
「…なんか矛盾しているような気がしなくもないけど」
『いいんです!私がこう思うんだから、これでいいの。』
悪戯っぽく笑う。
俺の周りにはいない考えを持った子だった。
天国とか地獄だとかを信じて、死にたくない、幸せになりたい、と誰かの自分よがりの願いばかり言う人とは違う。
『私ね、別に死ぬのは怖くないんです。まあ、出来れば生きていたいですけど。それよりも、大切な人がいなくなる方が怖い。だったら、大切な人が居なくなる前に、私が居なくなりたい。でも、それはそれで私が居なくなって悲しまれるのも嫌ですけど。』
「へぇー」
俺よりも小さな足に歩幅を合わせながら歩く。
『童磨さんは、私がいなくなったら悲しんでくれますか?』
「うーん、どうだろうね。」
俺には、人が普通感じる感情が、分からないから。
『酷いー、そこは嘘でも悲しむって言ってくれないと』
あはは、と笑う。
いつもなら、嘘でも傷つく、悲しむ、と言葉が出るのに、何故か出なかった。
『私は、童磨さんに居なくなって欲しくないです』
少し寂しそうな顔で微笑んだ。
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寺乃(プロフ) - 小姐さん» ぜひ見ていただけると嬉しいですー!✨ (9月20日 19時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
小姐 - 新作だー!!絶対、見まーすっっっ!!^ ^ (9月18日 18時) (レス) @page3 id: d47bf1e932 (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - ほしいも(*^^*)さん» ありがとうございますぅぅぅ!!頑張りまっす! (9月17日 16時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
ほしいも(*^^*)(プロフ) - 新作おめでとうございます!!応援してますぇぇぇぇ (9月16日 19時) (レス) @page2 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寺乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mui08081/
作成日時:2023年9月16日 16時