検索窓
今日:7 hit、昨日:48 hit、合計:9,243 hit

現夢 ページ34






どれくらい走ったんだろう。



気づくと、もう夜になっていた。




御館様にはカラスで文を飛ばした。


本当なら直接言った方が良かったのかもしれない。


でも、もう私には御館様に合わせる顔なんてないから。






私は、おかしいのかもしれない。


道を間違ってしまったのかもしれない。





人を殺して喰っている鬼を、




忘れられないで、まだ好きでいてしまっていることも、その人を選んでしまったことも。



でも、もうどうでもよかった。



人になんと言われようと。




もしかしたら、もう私の事なんて忘れていて殺されてしまうかもしれない。鬼にされてしまうかもしれない。




でも、もうそれでも良かった。



何もかも、どうでも良くて、ただ会いたくて。






息が苦しくなってきて足を止める。



童磨さんに見つけてもらえるかも、なんて思って走りにくい着物を着てきたせいで走りづらいしすぐ転びそうになってしまう。



少し後悔しながらふと袖を見ると、小さな膨らみが目に入った。



…なんだろう。


取り出してみると、それは2つのガラス玉だった。



こんなところに入れていたんだっけ…



童磨さんに渡そうと思っていたもの。




『あっ』



手が震えていたせいか、地面に落としてしまう。


しかも少し坂になっていたので下の方までコロコロと転がっていってしまう。



急いで追いかけるが見失ってしまう。


どうしよう…




そう思った時、近くにしゃがんでいる人がいるのに気づく。遠いしくらいからよく見えないけれど。


もしかしたら拾ってくれたのかもしれない。



駆け寄ると、少し懐かしい匂いがした。




「君、これ落とした…」



上げた顔には、見覚えがあった。



ずっと、探していた人。





『童磨、さん』




一瞬驚いた顔をする。




「生き、てたの」



『…はい』




彼が私の存在を確かめるように頬に触れる。






この先のことなんて分からない。





鬼にされて人を襲うのは嫌だからその時は自分から死にたいけれど、もしかしたらこの先鬼にされてしまうこともあるかもしれない。




この先ずっと一緒にいられるかどうかだって分からない。



でも、一生なんて願わない。



平穏なんて願わない。



幸せだって願わない。




今この一瞬、あなたと居られれば、それでいい。





流れていた涙を拭い、頬に触れている彼の手を握った。

夢のつづき→←夢現



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
65人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 童磨 , 時透無一郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

寺乃(プロフ) - 小姐さん» ぜひ見ていただけると嬉しいですー!✨ (9月20日 19時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
小姐 - 新作だー!!絶対、見まーすっっっ!!^ ^ (9月18日 18時) (レス) @page3 id: d47bf1e932 (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - ほしいも(*^^*)さん» ありがとうございますぅぅぅ!!頑張りまっす! (9月17日 16時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
ほしいも(*^^*)(プロフ) - 新作おめでとうございます!!応援してますぇぇぇぇ (9月16日 19時) (レス) @page2 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:寺乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mui08081/  
作成日時:2023年9月16日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。