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あの日、朝、と聞いていたから馬鹿のように、
早朝、まだ日も登りきっていないうちに、家を出発した。
街に着くと、もう出店はチラホラと出ていて、昨日のお爺さんの店も出ていた。
昨日、私が貰ったものと似ている、虹色のものを選ぶ。
「随分と早いかったね、そんなに欲しかったのかい?」
『はい、大切な人に、贈り物をしたくて。』
「それは、もしかして想い人かい?」
『えっ?』
想い人、なんて。
「頬を染めて、なにか大切なものを見るような目で見ていたからな、すまんね。こんな爺が口出しをして」
『そんなことありません。…そうですね。想い人、です。』
そう言うと、そうかい、とまた優しく笑った。
「そうだ、近くに美味しい甘味処が出来たんだよ。お嬢ちゃん、この辺の子じゃないだろ。せっかくだし寄っていったらどうだい?」
『そうなんですね、じゃあ、行ってみようかな…』
「あ、でもこの辺りは行方不明になってる子も多いから気をつけるんだよ」
『お気使いありがとうございます。』
そう言って、お爺さんがいっていた場所に向かうが、どこにもそれらしい店が見つからない。
その時、
「おい、そこのお嬢ちゃん。」
男の声が聞こえ、振り返る。
すると、一人の男がニコニコとしながら近づいてくる。
『なん、ですか』
あの寺にいた人としかほとんど話したことがない。
警戒していると、微笑んだまま男が口を開く。
「こんなとこで何してるの?」
『甘味処を、探していて』
「そうかそうか!その店なら俺知ってるよ。」
『ほんとですか!?』
「あぁ、案内してやる」
『ありがとうございます!』
すごく、親切な人なんだな
そう思い、何も疑わずにその人について行った。
しばらくその男性の後ろについて行くと、何故か人気のない場所まで歩く。
怪しい、そう思った時にはもう遅かった。
『あの、どこに』
「ちょっと静かにしててなぁ、嬢ちゃん」
『っ…!』
急に口を布で塞がれ、手首を縄で縛られる。
抵抗しようとしても女の私じゃとても力がかなわない。
『んんっ…!』
「ははっ、こんなにノコノコとついて来るとは思ってなかったぜ。それにしても、これは上等だ。高く売れるだろうなぁ」
何やってるんだろう、私。
童磨さん、助けて。
そんな事を思いながら、私は意識を失った。
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寺乃(プロフ) - 小姐さん» ぜひ見ていただけると嬉しいですー!✨ (9月20日 19時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
小姐 - 新作だー!!絶対、見まーすっっっ!!^ ^ (9月18日 18時) (レス) @page3 id: d47bf1e932 (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - ほしいも(*^^*)さん» ありがとうございますぅぅぅ!!頑張りまっす! (9月17日 16時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
ほしいも(*^^*)(プロフ) - 新作おめでとうございます!!応援してますぇぇぇぇ (9月16日 19時) (レス) @page2 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寺乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mui08081/
作成日時:2023年9月16日 16時