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童磨さんは、なにか仕事をしているようだったが、詳しくは知らなかった。





"可哀想な人を救ってあげている"








それだけしか教えてくれなくて、私は"信者"と呼ばれている人に日中は面倒を見てもらっていた。






その"信者"は、童磨さんのことを教祖様、と呼んでいたので、私もそう呼んでみたことがある。







すると、一瞬驚いた顔をして、にっこり微笑んで私の髪を撫でた。









ずっと不思議だったのが、私がいくら大きくなっても、童磨さんは出会ったばかりの頃のまま、ずっと若い姿でいたことだった。






人じゃないのかも、なんて思ったこともあった。




きっと若く見えるだけだろうと思い直したけれど。







それに、私にとっては、童磨さんが人でないことより、歳をとって、私の前からいなくなってしまう方が、余程怖かった。





大切な、人だったから。





殴られたり、蹴られたりしても大切に思っていた両親に捨てられた時のように、私の目の前から消えてしまうほうが怖かった。










そういえば、1度、童磨さんに聞いたことがあった。





私がいなくなったら、悲しんでくれるのか。




私は、童磨さんにとって、どんな存在なんだろう、と。





ずっと気になっていた。



他の"信者"と同じように、私もただ可哀想だったから助けられただけで、ここまで育ててくれていたのか。





そうじゃなくて、可哀想とかじゃなくて、





いや、最初はそうだったとしてもいいから、ずっと一緒にいる中で、少しでも私の事を大切に思っていて欲しかった。




いなくなって欲しくないと、思っていて欲しかった。





でも、返ってきた言葉は、







『どうだろうね』







そう答えた童磨さんの目は、暗く、冷たかった。





とても、冗談で言ったとは思えないほど冷たい声で。





どうだろうね、ってどういうこと。




そう思いながら、酷い、とおどける。








私は、童磨さんにいなくなって欲しくない。





気づくと、そう口から零れていた。




童磨さんにとっては、私はただの可哀想な人でしかないのかもしれない。






でも、私は誰よりも、童磨さんが大切だった。





それが、たとえ伝わらなくても。

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寺乃(プロフ) - 小姐さん» ぜひ見ていただけると嬉しいですー!✨ (9月20日 19時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
小姐 - 新作だー!!絶対、見まーすっっっ!!^ ^ (9月18日 18時) (レス) @page3 id: d47bf1e932 (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - ほしいも(*^^*)さん» ありがとうございますぅぅぅ!!頑張りまっす! (9月17日 16時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
ほしいも(*^^*)(プロフ) - 新作おめでとうございます!!応援してますぇぇぇぇ (9月16日 19時) (レス) @page2 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寺乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mui08081/  
作成日時:2023年9月16日 16時

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