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『…え?』





「A様が…」





耳が、聞くことを拒んでいる。いや、聞こえている。


でも、頭が理解しようとしない。





いたたまれないような顔をした男が小さな声で呟く。



鼓動が速くなっていくのを感じる。





「お亡くなりになったそうです」





思わず、は、と口にする。




『…どうして、そんな急に』





「任務中に…を…て…」


信者が何か言っているが、何も耳に入ってこない。




死んだ?あの子が?




「大丈夫ですか?教祖様」



いつも俺に媚びを売ってくる女の信者が、馴れ馴れしく俺の手を握り、顔を覗き込んでくる。



いつの間にここに来ていたんだろう。






俺を心配しているような素振りだが、心做しか、嬉しそうな顔をしている。



笑いを噛み殺しているような。



そういえば、この女は昔、Aを妬ましそうに眺めていたような気がする。





でも、もうそんなのはどうでもいい。


心底、どうでもよかった。







「あの子のことは、早く忘れましょうよ。ね?もう4年ほどいなくて、死んだも同然だったんですし。」






ねっとりとした猫撫で声が、気色悪くて仕方ない。




「そうだね」




にこっと微笑み、懐から扇を出してその女の首を落とす。



部屋に血が飛び散り、誰のものか分からない悲鳴が響く。







気づくと、数人の死体が部屋に転がっていた。




無気力なまま、部屋を出る。








昔は、このくらいのこと、何も感じなかったのに。



人が1人死んだくらいじゃ、




何も。




取り乱すことだって、1度もなかったのに。





物事に何かを思うことだってなかった。






全て変わったのは、あの子に会ってからだ。




でももう会うことも出来ない。




叶わない。





当たり前だ。死者には二度と会うことなんかできない。





__夢なら





一年以上も眠っていなくて、見ていなかった夢。




夢を見たら、Aに会うことができるだろうか。



一目、見るだけでいいから。



次見たら、もう見ることがなくなってしまうかもしれない、夢。



まず、その夢を見られるかどうかも怪しい。





でも、





そう、縋るように、目を瞑った。

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寺乃(プロフ) - 小姐さん» ぜひ見ていただけると嬉しいですー!✨ (9月20日 19時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
小姐 - 新作だー!!絶対、見まーすっっっ!!^ ^ (9月18日 18時) (レス) @page3 id: d47bf1e932 (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - ほしいも(*^^*)さん» ありがとうございますぅぅぅ!!頑張りまっす! (9月17日 16時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
ほしいも(*^^*)(プロフ) - 新作おめでとうございます!!応援してますぇぇぇぇ (9月16日 19時) (レス) @page2 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寺乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mui08081/  
作成日時:2023年9月16日 16時

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