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まあ、第一印象としてはなかなか良かったかな。
男女問わず私の顔に見惚れていたし、女子は私と仲良くしようと自己紹介後はたくさん声を掛けてきた。
一軍も二軍も私を自分達のグループに入れようと必死過ぎて、うっかり笑ってしまいそうだったよ。
特に二軍の子なんて!
きっと中学でも二軍、もしくは三軍だった彼女達は高校は一軍になろうと必死みたいだけど。
残念ながら、一軍になれそうな子は二人か三人くらい。そんなことにも気付けずに必死になっちゃって馬鹿みたい。
そこそこ顔がいい子は何人かいるけど、顔だけ女じゃあダメ。運動も信頼も高い水準じゃないと仲良しごっこするのにも疲れるじゃん。
情報集めが得意そうな女子もちらほらいるし、3日以内に誰にするか選ぶとしよう。
──それにしても、あの背の高い男子は理想的だ。
月光を溶かし込んだような銀髪とライムグリーンの瞳が美しい男子。
幻想的な美貌と裏腹に底抜けに明るい性格の彼は早くも多くの人から話しかけられている。
さらに自己紹介で「バレー部に入る」と言っていた。きっと運動神経もいいだろう。
顔も運動も性格も文句無し。
──決めた。
彼……灰羽リエーフと仲良くなろう。
クラスで一番仲が良い女友達、あわよくば惚れさせてしまえば私のスクールカーストの順位は揺るぎないものになる。
そうと決まれば早速、彼に話し掛けてみようじゃないか。
「灰羽くんでしょ? 月崎Aです。1年間よろしくね!」
「おう! 月崎よろしくな」
ニカッと人懐っこそうな明るい笑顔を浮かべて答えてくれる灰羽くん。
「月崎って美人だなー」
「な! 彼氏とか居る?」
「ね〜気になる!」
灰羽くんの「美人」という言葉に近くにいた男子も女子も賛同を示す。
「あ、ありがとう。私なんて全然なのに……彼氏は居ないよ」
まあ、私が美人なんて知ってるけど適当に謙遜しておく。頬を仄かに赤らめてぶりっこにならない程度に恥ずかしそうにすれば女子も好感が持てる可愛い子の完成。
みんな、そんなことで騙されてくれるなんて、音駒のスクカ首位争いは案外楽なのかもしれない。
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作者名:笹かまぼこ | 作成日時:2020年2月1日 19時