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蜥side


「んん?よくよく見たら柱がひとーり…、二人いるじゃん!」


「…お前が鬼になった隊士か、」


「いかにも、かな。あはは」



見ればわかる、笑っているが心からは笑っていない。
鬼になり感情までもなくしたか。

鬼の目を見ると右目に下弦、左目に壱 表してあった。

こむぎが言っていた通りだな、流石だ。
だが下弦だからといって舐めた真似はできない。


「うーん、左足をかすっただけか、早く死んでほしいのに」

「…屑に話してる暇はないわ、蜥いくよ。」

「了解だ。」

「あー話を理解してもらえない柱か、残念。」


話が通じないのはどっちだか、合流に時間を食ってしまったから早く終わらせないと


「…っ?!」

石が宙に浮いている…?これがこいつの血鬼術か。

次々と石が襲い掛かってきて鬼に近づけない…
これは雅と協力する必要がありそうだな。


「雅っ!右からのまわってくれ!!」

「…っ!」

俺の出る最大の声で雅に伝えると、俺の意図を理解したように縦に頷いた。


「あはは、両側から挟み込む気なのかなあ?そんなの避けちゃうよ。」


…残念だがそうじゃない。


「…?!」

俺が囮となり前から鬼を斬る、そして雅が後ろにまわって首を斬る戦法だ。
当然ながら俺の(やいば)は避けられる。だが、後ろから来た刀は避けれまい。

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」


「…ゎ」


ザシュっと鬼の首を斬った音が静かな山に響いた。



「クソが…」


「クソはお前だろ、皆殺し。」


「ほんと。稽古でやっといて良かったね、この技」


塵になり散っていく鬼の体を背にああ、と雅に返事をする。



この山の鬼は全て倒せただろうか、気配がなくなった気がする。
まあ、倒せていなかったらこの区域の柱にでも頼もう。


そんなことを考えていたら雅に話しかけられた。


「この任務が蜥とでよかったよ。」

「ああ、俺もだ」

と少し会話をした時にはもう日が昇り始めていた。

甘味処→←合流



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作者名:むぎこ | 作成日時:2020年5月21日 20時

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