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「こらっ、また人間を喰ったな?」


コクリ、と頷くこいつは人外で 人喰いだ。


一見何も変わらない人間のようだが食べる物は人肉だし、身体も異様な程に優れている。

実験台の中では1番と言っていいほど静かで落ち着いているから喰わないと思っていたが見当違いだった。


「次は喰うな。これ以上支障を出すとここにもいられなくなる。お前のことは信頼しているが罪のない人間を喰おうとするな」

口元や服に着いた血を拭い、釘を刺しておく。
相変わらず、返事はない。だが、分かったとでも言いたそうな目で俺を見るから許してしまう

ああ、俺はどうしてもお前には甘いみたいだ


「また依頼が来たらたらふく食べさせてやるから今は我慢しろ、コムギ」


「がるるるるる…」


喉を鳴らし、お腹がすいたと唸る実験台。またの名をコムギ。人間とは全く変わらない容姿で、俺の過去最高傑作だ。


「依頼が来たらたらふく食べさせてやるから。それまで待ってくれ」

人の言葉を話せないのに、人の言葉は分かるようで実験室の隅にすとん と座り瞼を閉じようとしていた。


少しだけ、ほんの少しだけだから

お前を超える実験台を作るまで、喰わないでくれ









人外研究者 蜥と人喰いこむぎの話




思いつきです。

裏話をするとコムギは蜥に従っていません。
蜥がそう解釈しているだけで、コムギは自分の利になることを選んでいます。

作中で蜥はコムギを過去最高傑作で信頼していると語っていますが、コムギは蜥をただご飯をくれる人だと思っています。

そのうち飽きてきたら、蜥も喰います。

コムギにとって大切な人でもなんでもないんです。

戦→←耳



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作者名:むぎこ | 作成日時:2020年5月21日 20時

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