成長日誌 (ページ21)

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声ページ21

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久しぶり

　二年前の事だった。急に声がかすれ始めて、喉が痛くなった。医者に診てもらったほうが良いと判断し、病院に行ったが無駄足だったらしい。
衝撃的だったからあまり覚えていないが、がんか何かの病気が治すのが不可になるぐらい進行していたらしい。気づいたころにはもう遅く、私の声はもう誰の耳にも届かなくなっていた。

　不便なことが無かったと言えば嘘になるが、慣れるまで時間はかからなかった。あまり積極的に話したりするタイプではなかったので指文字を覚えたりして少しでも不便を無くせるように心がけた。

　そして、冒頭に戻るが私は驚きのあまりおかしな顔になっていただろう。これは私の言葉ではない、長く旧い友人。といっていいのか分からないが知り合いだ。

彼女の名前は紅華。名前の通り、紅い瞳が一目を引くくらい華麗で素敵な人だ

　旧い知り合いに偶然会うというのはあまり驚くことではない。私が驚いたのはメモ帳に字を書いて私に話しかけてきたのだ。
声帯は失ったが耳には何も異常はない

「どうしてメモ帳なの？」

　気になったのでメモ帳に書いて聞いてみた。もしかしたら耳が不自由だと勘違いしているのかもしれないから

すると数秒置いて何か察したようにメモ帳に字を書き始めた

耳が聞こえないの

　するりとこちらに向けたメモ帳にはそう書いてあった。声を出して話してこない感じ、もう数年はメモ帳で会話をしているのだろう。ものすごく可哀想だと思って抱きしめてしまった。
こんなにもかわいい容姿で昔聞いたことのある声は透き通っていてビー玉みたいな声だったなと思い出す。不幸なことに恵まれなければ芸能界で生き残ることも容易かったのではないかと思うほどだ。

　彼女は少し驚いていたが抱きしめて返してくれた。もう何枚を着こまないと風邪をひく季節だからか、肌に触れた指先は冷たく感じた。
背中を二度ほど優しく叩かれ離してほしい合図かと思い、離そうと手を解こうとした

「みやび、」

　声は震えていて寒いからなのか、久しぶりに声を出したからなのか分からなかった。きっと後者だろう、そう願いたい

聞こえているよ、という合図でもう一度彼女を抱きしめた。

＊

声が出ない雅と耳が聞こえない紅華のお話

シリアス的なものが書きたくて殴り書きしました。

続きはあるかもしれないしないかもしれない。

解釈はお任せします。