明日に向かって手を伸ばせ

☆ちゃんとついてきて☆〜ybin〜 ページ37

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｢これ、、飛ばさないの？｣





砂浜に落ちた紙飛行機をこの街で見たことの無い子が拾って、俺の前に差し出した



｢要らない。
もう、必要ないから｣



また、ダメだった。

また失敗だった。




石垣に座ってた俺は落ちた紙飛行機に目もくれず、家へ帰ろうと道路へ登った


お母さんが特別厳しいわけじゃない。
お父さんも俺の好きなようにしなさいって言ってる。

でも、そのどちらにも答えられない俺が嫌なんだ



｢ふぅん、、
また、諦めるんだ｣



ピシャリと言い放たれた冷たい声に振り返ると、声の持ち主は紙飛行機を持ったまま大層つまらなそうにこちらを見つめていた



じっと見つめるその姿は俺より小さいのに、ずっと大人びてて、全部わかったような顔にゾクリと背筋に寒気が走った



歳は同じか下か。

それなのに子供らしくない態度にむすりとした態度を取ってしまう



｢また、ってなに？｣



｢いつまで経っても飛ばないんじゃない、これ。
諦めたがりやの慧くんに作られたんだもん｣



｢え、なんで俺の名前…｣



｢知らなくていいよ。
この世の中にはね、知らなくていいことがいっぱいあるから｣



サクサクと砂の音を鳴らしながら近ずいてくる子は、俺の事を諦めたとバカにしたくせに、俺よりずっと全て分かったような目をしている


よく大人びてるだとか、落ち着いてると言われる俺でも不気味なくらい、彼の瞳には子供らしさがなかった

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