明日に向かって手を伸ばせ

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薮くんに頭を撫でてもらったら幸せになるはずなのに、今はその行動を思い出す度に悲しいが深くなる




｢薮くん、薮くん…｣




あぁ、なんで俺には｢泣く｣という機能がないんだろう

人間みたいに涙が出たら、この痛みも少しは楽になったのかな。




どうして薮くんは俺にこの故障の対処法を教えてくれなかったの。



｢寂しい、、居なくならないで。｣



こんなに苦しいんだよ
俺、こんなに心が痛いの。


なのにどうして君はそんなに綺麗に寝てるの


どうして幸せそうなの



こんなに苦しいなら、感情なんて要らなかったのに。




嬉しいと楽しいを感じられないのは残念だけど、こんなに大きな辛いと寂しいと悲しいは感じたくなかったよ





俺、機械なのに。

起動して直ぐに捨てられると分かった時でさえ、こんなに気持ちにならなかったのに。




薮くんのせいだ
薮くんが俺に沢山教えてくれたから

薮くんが俺を宝物にしたからだ。


無くしたい。もう何も感じたくない。この気持ちをリセットしたい。







だけど、薮くんを1番に感じるこの心は絶対に無くしたくないんだよ



ひどいよ、薮くん
もう何も教えてくれないのに、こんなに難しい問題を俺に与えるなんて。





｢薮くん、｣



あぁ嘘だ。



もう何も教えてくれないけど、最後に俺に新しい感情をくれたね




｢お疲れ様。
どうか俺がそっちに行くまで待っててください｣





人を想い続ける感情は今、知ったよ。

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