明日に向かって手を伸ばせ

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Nakagima

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随分長いことこの世界で過ごした




使い方を知らなかった｢心｣は、薮くんが全部教えてくれた



いっぱいの愛情を俺にくれて、俺にいっぱいの感情を教えてくれた




その中でも一番最初の贈り物の｢名前｣はお気に入りなの




人間が生きるためのことも全部教えてくれて、家事というものも教えてくれた

料理だけは…本で学んだけど。




それから俺たち機械が生きるためのことも教えてくれて。

ある程度の治療や充電、稼働に必要なことは自分自身でできるくらいになった


時の流れとは不思議なもので、俺は薮くんに会った時と全く変わらないのに、いやむしろ薮くんのおかげで何倍もの知能を蓄えて成長したのに。


薮くんは寝てることが多くなった


少し前、人間は時間が経つと出来なくなることが増えるんだと教えてくれた


その時は俺の大好きな笑顔で｢ユウトと反対だね、｣なんて笑ってたのに。



呼びかけてもうっすらと目を開けて反応するだけで、ここ数日は一緒に散歩にも出かけられてない


ねぇ、薮くん。
俺、寂しいよ。これは寂しいって感情で間違ってないよね？


この感情を教えてくれたのは薮くんだもんね。
寂しいは辛いんでしょ？

だから、だから、俺の寂しいを取ってよ。
俺の辛いを幸せに変えて。


それを人間はできるんでしょ？


｢薮くん、、まだ寝てるの？｣


｢ん…ユウトか｣


｢うん｣


何日かぶりに聞いた声は掠れてて、薮くんと会話ができたのに俺の寂しいは大きくなっだけだった

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