The only woman in the group -3-

YU ページ9

「テヒョン先輩」



スマホ片手に俯く彼にそう声を掛ける。

最後に会った時に比べてtheアイドル。と言わんばかりのマスクが妙に違和感だった。



TH「A来てたりする？」

YU「勿論。
連絡したかったんですけど隙がひとつもなくて……」



すみません。と謝ると彼はいいのいいの！と笑った。

ただその視線はキョロキョロと落ち着かない。
すぐに分かった、Aの事を探してるんだと。


部屋にいるってことくらいわからないもんなのかね。と思いながら、行きましょうかと彼に背中を向け歩き出す。


昔からアイツは世話が焼けた。

兄と喧嘩すれば家出。
練習で兄に厳しくされれば電話。

覚えてないほど昔から一緒だった。


そんなAが今悩むのは、昔みたいに兄、ユンウの事ではなく、メンバーであることがなんだか変な感じがして。
その一方でなんだか嬉しい気もした。

ずっと気付いてた。
兄の呪縛があること。
分かってた。

それでもソレを伝えなかったのは私なりの優しさだといえば格好がつくだろうか。


最初はA自信に気づいて貰って、そこから自由になって欲しかった。
デビューが決定したと報告が来た時、ふと思った。

その人たちに任せてもいいんじゃないかって。


その決断は間違いなく正解だったと思う。


ただ、今だけ、今だけは甘えさせてもいいんじゃないかって。
メンバーじゃなくて、私に頼るものいいんじゃないって。

そう思ってた。

でも、こうやって迎えに来てくれるなら、彼らに任せるのがやっぱり一番だ。

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