Half step【3】 (ページ6)

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どうにかこうにか話をみんなの近況とかに変えて数時間、そろそろお開きかなあという頃にテーブルに来た彼。

「あと30分したらあがれるから。今日泊まるやろ？」

「え、あの…はい。」

半ば押し切られる形で返事すると、ふんわりとあがる彼の頬。

私から視線を3人に移すと

「Aさんのこと、口説かんといて？」

そう言って、別のテーブルにオーダーを聞きに行ってしまった。

残された私は

「めちゃくちゃ愛されてますやん。」

またやいのやいの言われて、ほんとに恥ずかしくてしょうがなかったけど、彼は平気な顔で接客してて。
とにかく今日の私は彼に振り回されっぱなしだった。

閉店までお行儀よく席に座って待ってた私の所にやって来た彼は、私服に着替えていて、急いだのか額に薄く汗が滲んでいた。

「ごめん、退屈やった？」

退屈じゃなかった。
小島くんたちに色んな話を聞けたし。

大吾はしばらく、あの家から出ているらしい。
この前遊びに行った時留守だったから、たまたまかと思ったらそうではなく、もうすぐ2ヶ月近くになるらしい。

さっき3人が少しだけ話してくれた。

『今、あの家まっさん1人っきりやから、たまに行ったったら？』

『正門くんからは、甘えられんでしょうからねぇ』

だから、今日はちょっと甘やかしてやろうと思って口を開く。

「正門くんこそ、話に入れなくて寂しかったんやないん？」