Half step【3】 (ページ4)

今日:6 hit、昨日:35 hit、合計:133,293 hit

100 ページ4

「まっさーーん！」

1番前にいたのは、小島くん。

その後ろを福本くん、佐野くんが続く。

背の高い男の子、それに小顔で脚の長いスタイル良さげな男の子たちが、次々と歩いてきて、ステージに立ってる訳でもないのに、客席の視線を独り占めしてる。

「こんばんは、Aさん。」

1ヶ月ぶりに会った3人は、ぐんっと成長していた。

茶色の髪が可愛かった福本くんは、真っ黒になってて、長さも少し短い？

佐野くんは、もしかしたらまた背が伸びたのかもしれない。
それに前よりパーマがきつくなってて、わんこ度が増した。

小島くんは

「なんか、イケメンになった…？」

ちょっと前の私ならほいほい着いて行きそうなくらい、男前な兄ちゃんに変化していた。

「ほら、まっさんは仕事やろっ、」

小島くんがそう言うと、正門くんはバツが悪そうに、フロアを歩いてオープンキッチンの中に入る。

黒のロンTを着た後ろ姿がもう、寂しそう。

久々に会えたし、積もる話もあるだろうに、大学生組の彼らはホイホイと追い出してしまった。

あーあ、可哀想にと眺めていると、隣から元気な声が。

「Aさん、インターンの時はお世話になりました！」

2月の終わり、我が社に来たらしい福本くんのことは、藤原くんから伝え聞いた。

「ううん。藤原くんが褒めてたよ、積極的なインターン生やったって。」

「藤原さん！あのイケメンなお兄さん！！」

「そんなことより、さっきのなにあれ」

と、褒められてちょっとテンションが上がったらしい福本くんの話を遮ったのは小島くん。

「あれ？なにが？」

「大晴見てなかったん、」

「やからなに？小島の背中しか見えんかったけど、」

確かに小島くんは背が高いし、そこそこ肩幅もあって、私なんかが彼の後ろを歩いたらきっとなにもみえない。

ほう、と考えていると、

「なんて顔しとんの、やっとまっさんの彼女になったっていうのに。」

小島くんは、私の方をまっすぐ見てそう言い放った。