Half step【3】 (ページ27)

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「…ごめんな？大事にしてあげたいんやけど」

経験が豊富じゃない私でもわかった。

好きとか嫌いとか、そんな次元じゃなく

私は彼に、愛されてるって。

大きくて暖かいものが私のまわりにあって、守られてる。

家族以外に、こんなに守ってもらえるなんて思ってなかった。

あ。
これが、結婚して家族になるってことか…

人って、体温が下がっていくと、眠りにつくっていうけど本当かも。

彼がそばから居なくなって、私の体温は少しづつ下がって、今度はしっかり眠りについた。

翌朝、驚いたのは足が動かない。

ベッドから出ることが出来なくて、手で布団をめくろうとすると、

「なにこれ、？」

布団じゃなくて、寝袋…？

………あ、正門くんは！？！！

首だけ反対側に向けると、いた。

しっかり首まで布団をかけてまだ寝てた。

向こうを向いて眠ってる横顔を起き上がって真上から見下ろす。

あのさ、寝てる時まで…かっこいいのはずるない？

加えて、首元から見えた結構な範囲の肌色にドキッとしてしまって、私は急いで寝袋から脱出して、その部屋から出た。

どうやらいつもの時間にちゃんと起きれのは、テーブルの上でなってたスマホのおかげのようだ。

彼は意外と朝が弱いのか、全然起きて来なかった。

あの狭いシングルベッドで一緒に寝たという事実が強烈過ぎて、今朝はできれば彼と顔を合わせたくない。

だけど、もう一度あの部屋に入らなければならない。
ベッドの横のクローゼットで仕事着に着替えるために。

起きないよね…？
そう思いながらも、部屋着を脱ぎ捨て、ストッキングから履いていく。

上も脱いで、部屋着を落とした時、

「は！？」

思わず、大声が出てしまったのは、家のインターフォンが鳴ったから。

後ろで布団のシーツが擦れる音がする。

起きた？
まずい、まだトップス着てない！

キャミソールは着てるとはいえ、今日は昨日あれこれ言ってた、紺色のブラだ。

服を掴んで部屋から逃げた。