Half step【3】 (ページ11)

今日:3 hit、昨日:35 hit、合計:133,290 hit

107 ページ11

そう伝えたあとの彼の反応を知るのが怖くて、しばらく下を向いてた。

彼は何も言わない。

「…ほんとはさ、結婚する人としか、やっちゃいけないんでしょ？
前の彼氏にも言われた、『女子は大事にせなあかんで、』って。」

男はちゃうで？
それも言ってた。
男子は、数が多い方が崇められるんやって。

「…重い？」

でも、ファッション誌の特集で何度か見た。
一般女子の初体験の平均年齢は、21歳らしい。

その頃は、みんなその相手と結婚するのかなんて思ってたけど今ならわかる。

たぶん、付き合う＝そういうことをするもんなんだと。

「重ないよ。むしろ、安心してる。」

「…ほんとに？」

「大丈夫。結婚するまで手出さんから。」

私は引きがめちゃくちゃ強いのかもしれない。

身体しか興味のない、は言いすぎだけど、少なからずデートの目的が身体を繋げることだという人もいる中で、こんなことを言える人の彼女になれたんやから。

「浮気、しない？
私が相手しないからって、他の子と」

「俺のこと信じて。」

彼が少し屈んで、私のでこに口付けた。

「え！？」

慣れてないって言ってたのに、いきなりこんなことするなんて

驚いて、体を縮こませた私に上から降ってくる軽い笑い声。

「男って、好きな子にはちょっと意地悪したくなるもんやから、
…許して。」

後頭部に手を回して、彼の胸に引き寄せられる。
ぽんぽんと撫でてくれる手が心地よい。

さっきのことも、素直に許してあげようと思えるんやから、不思議。

「あとね、前の彼氏との話はもう終わり。」

意図してしたつもりはなかったけど、彼の中では不満だったらしい。

ごめんね、の意味も込めて背中にまわした腕に力を込めてギュッと抱きしめ返すと、向こうからも

「嬉しい。」

そうギュッと返してくれるから。

同じ気持ちになるって、こんなに幸せなんだと

今日、初めて知った。