Half step (ページ45)

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「ほら、だから大した話やないって、」

「Aさん！」

急に佐倉ちゃんからがっちり握られた手

いつかあったシチュエーションすぎて、驚く。

「え！なに！？」

「私は応援しますから！
先輩が急に婚活に本気になったのがそういう理由だったからなんて知らなくて、私…」

「はあ？」

なんで、大吾が音楽が好きって打ち明けただけやけど？

「弟とは言え、血は繋がってないですし、籍は入れれなくても、事実婚てのもあるし…」

「え？なにそれ、私が大吾と結婚するみたいな…」

「え？弟のこと好きなんでしょ？」

ちがーーーう！！

なんでそうなったの！？

「違うから！ほんとなんにも
弟がそのバンドのこと好きなん！」

「そんな今さら隠さなくても〜」

「ほんとやから！
そのバンドに行って、それで…
強いて言うなら、弟よりまだバンドメンバーのがアリなくらい、ありえへんから！」

「はぁ？
バンドマンなんて、付き合えるわけないじゃないですか！
3Bって知ってます？
美容師、バーテンダー、バンドマン、
付き合っちゃいけない男の3B」

ダメンズ、というものがあるけど、それとはまた違う。

美容師、バーテンダー、バンドマン

彼らは驚くほどスペックが高く、モテる。

…しかし、驚くほど、節操がない。

と、私は思う。

「知ってるよそれくらい。
今してるのはあくまで、比較の話であって、付き合いたいとか言ってないし、！」

昨夜、正門くんと柱の隙間から、どうやって抜けたのかあんまり覚えてない。

ただ、最後に呟かれた、「おやすみ。」だけが、しばらく耳から離れへんくて。

完全に、彼の手のひらで転がってコロコロ転がってしまって、

きっとそのあとは…

貢ぐしかないんやろなぁ、と容易に想像ができた。

彼とふたりで話して感じた違和感はきっとこれ。

本能的に好きになったらあかん、と警告してたのかもしれない、と堕とされる前に気づいた私に感心すらしていた。

そもそも私が婚活してるのは、結婚したいからって言うのもあるけど、無駄な恋愛したくないっていうのが1番大きな理由。

「それに第一、年下は絶対ない！」

そんな年下バンドマンに、今から恋するのは、ハイハイハイ、ハイリスクすぎる…！！