Half step (ページ38)

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「Aちゃん？」

「はい。」

あれ、いつの間にさんからちゃんになった？

え、なにこの感じ…

「この後どっか行く？」

いや明日も仕事やもん、行かんやろ！！！

「いやぁ、明日も仕事なんで帰りますぅ」

「じゃあ、家まで送って行くよ」

やからいいって！

てか、そこまで深い関係やない人に家知られたくない！

「そんなに飲んでないし、ちゃんと1人で帰れますよぉ」

「飲んでないの？なら別のとこで飲み直す？」

いやだから、今日は帰るって言った！！

「姉ちゃんなにしてんの」

急に頭の上から落ちてきた声。

ついでに肩に手も置かれて、驚いて振り返れば、背の高い男の子。

あいにく、こんな長身の子の姉ちゃんはしてないけど

「弟…？」

「あ、その…」

「姉ちゃんあかんて。門限破ったって分かったら、パパ怒鳴り散らしに来るやん」

…あいにく、そんなパパとやらもいないけど、

「え、うそもうそんな時間？」

だなんて、会話を合わせておく。

「お兄さん、お家どこなんですか？」

「え、っと…北の方の…」

「えー！奇遇！」

「あ？ほんと？」

「うちと全く反対側ですわ〜
路線も被ってない！」

めちゃくちゃ通る声で、あっはっはーなんて笑う彼は、強靭なメンタルの持ち主らしい。

「じゃあ、姉ちゃんは僕と帰るんで、さよなら！」

そう言って、店の外まで見送りに出ると、斉藤さんは駅に向かって帰って行った。