Half step (ページ35)

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マッチングアプリで知り合った斉藤さんとは、ノー残業デーの水曜日に会うことになった。

「先輩今日はデートですか？？」

なんて、わかりやすいくらい気合いの入った格好をして行く。

それくらい気合いが入るにはわけがある。

佐倉ちゃんから教えてもらって、こんなんで見つかるのかぁ〜なんて思ってたけど、それが見つかったのだ。

顔もまあまあタイプ。

その上、話がまあ合って。
たぶん私たちは似た者同士。

あんまり目立ちたくはないし、かといってずっと一人でいたくもない。

向こうからも「早くAさんと会いたいなぁ」

と連日こんな感じで、気が早いとは思うが、私は内心、この人とのお付き合い、結婚までをなんとなく想像していた。

待ち合わせは私の職場の最寄り駅。

こちらに合わせてくれる事にも好感が持てる。

『今どこですか？』

待ち合わせの5分前にそう連絡が来る。

『構内の本屋の前にいますよ！』

そう返すと、秒でつく既読

『僕もです！』

って、…え？

私の他には、1人しか居なくて

その人を見て、まさかなぁなんて思ってたら、向こうも少し微笑んで近づいてくる。

うそ、でしょ…

「…Aさん？」

「あ、…はい。」

「写真通りだったから、すぐわかったよ〜」

苦笑いしか返せない。

だって、アプリの斉藤さんはこんな顔じゃなかった！！