Half step (ページ25)

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「え、あはは…」

彼の笑い声を聞いて、自分がおかしなことを言っていたことに気づく。

なんでこんなこと言ったんだろ！
まあ、この人の前では、散々なことを仕出かしてるからもうなんでもいいやという、気持ちもある。

「別に大したことないです、高校の同級生で、今同じバンドメンバーで、」

「高校の同級生…」

「あ、でも今一緒に住んでますけど、」

「えぇ！？」

いやたしか、同棲してるんじゃなかったっけ…？

え、あ、そういうこと？

「なんか、よからぬ事を思ってません？
大吾が俺の家に居候し出してそれで、ですからね？」

「…いえ？そんなことは、」

なんだ、普通にルームシェアしてるだけか
…つまんないなぁ

「お姉さんは？」

「…あの、私は大吾の姉ではないので。」

「ごめんなさい、…Aさん。」

そう言って、目を合わせて微笑む。

なにいまの…

なんて思ってる間に、呼ばれた彼は、「はーい！」と返事しながら向かいの席にオーダーを取りに行った。

ちょっと待って、

この人、同級生ってことは、もしかしてだけど、年下なのか…！？

無愛想ではないけど、甘え上手で「先輩？」って寄り添ってくる単純に愛でる対象の年下でもない。

…じゃあ、どういうタイプか？

なんだか調子が狂う。

なんだこの、微妙に躱されてるような、

…こっちの出方を読まれているような、

結局私はこの違和感を、相手が飲み屋の店員だからという理由で片付けた。