Half step (ページ17)

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こんな経験初めてで、心臓は口から飛び出しそうになるほどバクバクしてる。

ただ、安心できるのは、斗亜とかおりさんがいるからで

斗亜は私と同じく不安そうな顔をしてたけど、

かおりさんはキーボードの彼にブツブツ文句を言っていた。

「おー小島おかえり」

「ちょっと、大晴そこ開けて、晶哉も。」

「なにどうしたん？」

そう言って、ソファに座っていた人たちが振り向いた。

「お邪魔します。」

そう小さく頭を下げると、

「ここどうぞ？」と、席を空けてくれた。

「大吾くーーん！」

部屋の奥に向かって、キーボードの彼が呼んでいるのが見えた。

そんなことは気にせずに、かおりさんはさっさと席に座る。

私と斗亜もとりあえず隣に。

「なーにー？
声でかすぎや。」

「お客さん、大吾くんに。」

「げっ！
…なんでおんねん。」

薄々わかってはいたけど、めちゃくちゃ無愛想モード。
さっきのでちょっと感動してた私、やっぱりどうかしてた。

「なんでおんねんちゃうわ！
あんたのメンバーに連れてこられたん。」

かおりさんがそう言うと、楽屋で待機してた他のメンバーが

「こいつっす。」

そう言ってキーボードを指さす。

「小島〜」

「ちゃうってちゃうって！誤解！
俺はただ、あの男の子に…」

「えっ！？、僕！？」

斗亜がびっくりして声を出す。

あ、だからずっとこっちを見てたのか…
もしかして自分が、とか思ってたのが少し恥ずかしい。

「お前、…手出すなよ。」

「出さへん！てか、今までも出したことないから！」

そう顔の前で手のひらを必死に振っていた。