Half step (ページ16)

今日:11 hit、昨日:8 hit、合計:193,866 hit

16 ページ16

結局アンコールが終わるまでいて、すっかり感動してしまった私は、斗亜が腕を引っ張るまで動けなかった。

「かおりさん…」

「んー？楽しかった？」

「はい。とっても。」

その頃にはだいぶお客さんは帰っていて、余程私が余韻に浸っていたことを知る。

「お腹減った？なんか3人で食べて帰ろ？」

「お父さんには内緒やなぁ〜！」

そう3人で歩き出した時

「おったおった！」

背の高い男性がこちらに来る。

…え、あもしかして。

「なんや小島くんやん。どしたん？」

「えぇ！かおりさんやん！」

多分間違いない。
先ほどまで、キーボードを奏でていた男の人。

まじかで見ると、案外若そうだから年下かもな。

「かおりさん、その子ら知り合いっすか？」

「まあ知り合いっていうか、うちの子やけど。」

「またまた〜大吾くんひとりっ子やん」

手の動きがなよなよしてる。
この人ほんまにさっきまでかっこいいと思ってた人なんか？

「かおりさん、私らのお母さんですけど。」

「え？」

「…あんた、うちの子になにしようとしてんの…？」

「え？えぇ！！！！
ま、とりあえず3人楽屋来てもらおっか…！」

そう言うと1人歩き出して、私達に向かって

「こっちやからこっち！」

なんて、まだお客さんもいる中、大声で言うもんやから

「あ、どうも小島の母です〜」

「あ、姉です〜」

「弟です！」

なんて、小芝居を打つ羽目になってしまった。