□パッとしない ページ10
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志摩「 えー、巻き戻すと、水島は前の車に前に行かれないように牽制しながら走ってます。水島の後ろの車。それが、足立300"へ"の13-2。犯人の車です。 」
『 被害者の水島さんはあおり運転の常習犯でした 』
伊吹「 俺たちの車を煽る前に、犯人のこともブイブイ煽ってた 」
志摩「 おそらく犯人は、煽られたことに腹を立て犯行に及んだ。
自分の犯行だとバレることを恐れて、ドライブレコーダーを盗んだと考えれば、筋は通ります 」
刑事さんに向かって、ふふん、と思わずドヤ顔をしてしまう。
伊吹「 よしっ。ナンバーから住所を割り出して、さくっと逮捕に行きますか！ねっ！ 」
刑事「 あとはこちらで 」
伊吹「 うん？ 」
志摩「 はい。 」
『 ………え？ 』
え？なんで？なんで？
伊吹さんと私は思わず固まってしまう。
私たちが逮捕までするんじゃないんですか！？
刑事「 初動捜査、ご苦労様でした。 」
志摩「 書類まとめたら戻りますんで、後はよろしくお願いします 」
刑事「 はい 」
刑事「 よしっ、行くぞ！ 」
刑事さん達は小走りで出ていってしまった。
伊吹「 終わり？ん？ 」
『 ………うんっ？ 』
志摩さんは呆れたような表情をしながら歩いて行ってしまった。
伊吹「 具合が全然わかんない、なんで？ 」
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『 こんなのパッとしませんよ〜 』
伊吹「 そうだよ、パッとしない！ 」
志摩「 逮捕まで手伝ってくれって言われる場合もあるんだけどな 」
伊吹「 やりがいは？機捜のやりがい。 」
外はもうすっかり暗くなっていて、雨が降っていた。
志摩「 これが仕事、職務 」
『 でも、なんかこれじゃあスッキリしないです！ 』
志摩「 スッキリするために働いてるわけじゃないから 」
伊吹「 警察って命懸けっしょ。なのに給料高くない。捜査一課なんて言ったら四六時中捜査に明け暮れて家にも帰れない。
それでも何でやるのかって言ったら、正義感。
犯人を捕まえたい、それしかないっしょ。
なのに機捜はその前で終わる。もう〜張合いない！もう！ 」
志摩「 だから、そういう仕事。当番勤務は24時間。24時間の間に出来うる限りを尽くして検挙率を上げるためのパーツとして働く。自分の満足のためじゃない。 」
『 …そんなの、私たち、ただの駒みたいじゃないですか… 』
志摩さんは、何も言わなかった。
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