□信用性ゼロ ページ8
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伊吹「 さっきの聴取の内容、報告書にはちゃんと書きます。
だいたい覚えてるんで、記憶で。 」
志摩「 記憶を過信するな。記憶にはバイアスがかかる 」
『 バイアスって？ 』
志摩「 電話の喧嘩は事件に関係ないって見立てた伊吹が、記憶に基づいて文字に起こせば思い込みで話が曲がる、無意識のうちに 」
『 なるほど〜 』
伊吹「 ふーん。じゃあどうする？ 」
志摩「 はあ……… 」
志摩さんは呆れたようにため息を吐いたあと、伊吹さんのパーカーのフード部分をガサゴソと漁る。
伊吹「 なになに？ん？ 」
志摩「 テッテレー 」
『 盗聴器……！ 』
そう言って志摩さんが取り出したのは、まさかの盗聴器。
志摩さんがボタンを押すと、目撃者の声が再生し出す。
志摩「 報告書書いたら、返してください 」
伊吹「 勝手に録ってたのかよ〜、信用ねえな〜 」
『 信用性、ゼロですね…… 』
志摩「 ああ、ないですよ。俺は自分も他人も、信用しない 」
そう言う志摩さんの表情はなんだか暗くて、寂しい気持ちになった。
それはきっと、伊吹さんもおなじ。
伊吹「 ふーん。難しいねえ、ね？ 」
『 そうですね。…信用、してもらいたいです 』
伊吹「 …ふふ、もう、早瀬ちゃん！ 」
なぜだかにこにこしながら頭をわしゃわしゃ撫でてくる伊吹さん。
『 もう、行きますよ！ 』
伊吹「 あれ？照れてる？早瀬ちゃん照れてる？？ 」
・
『 凶器の看板は、ここから持ち出したんですね 』
志摩「 ああ、そうみたいだな 」
パーキングの網部分には、看板を無理やり外したような痕跡が残っていた。凶器の看板は、きっとここから取ったもの。
伊吹「 いやあ、てかこん中から捜すの？車 」
志摩「 車ごと持ってかれてなければ 」
伊吹「 いや、どんな車かもわかんないのに 」
志摩「 一台ずつ潰すしかない 」
『 え〜！めっっちゃめんどくさいですね 』
伊吹「 わかる〜〜！ 」
志摩「 バカ、はっきり言い過ぎだ。 」
『 いてっ 』
志摩「 とりあえ防カメ見せてもらおう 」
めんどくさいと本音をこぼすと、志摩さんにデコピンされる。
うわ、結構いたい！そこまでしなくてもいいのに！
伊吹「 あれ？昼間のあいつの車じゃない？ 」
志摩「 あおり運転の？ 」
伊吹「 あ、いや…えっあっ、そうだよ、同じ車！ 」
伊吹さんが見つけたのは、確かに昼間のあおり運転の車だった。
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