□そういうアレ ページ7
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伊吹「 え〜。好きとか嫌いとか。なんかそういうアレだったって 」
陣馬「 どのアレだ。ちょっと見せろ 」
伊吹「 え？ 」
陣馬「 メモ 」
伊吹「 あ… 」
伊吹さんの曖昧な情報に痺れを切らした陣馬さん。
でも、伊吹さんから受け取ったメモには、カレー屋店長の名前や電話番号だけで、聴取の内容は書き記されてなかった。
陣馬「 おい、聴取のメモは？ 」
伊吹「 えっ、書かなくても覚えられますよ 」
陣馬「 現に説明できてねえじゃねえか！ 」
伊吹「 だから、問題なし！事件に関係なし！俺の勘は当たる 」
陣馬「 血圧上がったまま死にそうだ…！ 」
『 じ、陣馬さん！深呼吸、深呼吸… 』
今にも殴りそうな雰囲気の陣馬さんを慌てて止める。
同じく止めに入った志摩さんも、伊吹さんに諭すように話し出す。
志摩「 伊吹さん。機捜は初動捜査が仕事なんですよ 」
伊吹「 はいっ 」
志摩「 この後、所轄やナンバー課に引き継がなきゃならない 」
伊吹「 うんっ 」
志摩「 そのための報告書もこの後作る 」
伊吹「 確かに 」
志摩「 そこになんて書く？ 」
伊吹「 え？ 」
志摩「 "好きとか〜嫌いとか〜そういうアレで〜" って書くのか？
バカか！ 」
伊吹「 え、ふふ 」
志摩「 笑ってんじゃねえよ！ 」
伊吹「 そんな、女子高生みたいな喋り方してない、ハハッ 」
志摩さんの説教が効いてない、どころか笑っている伊吹さん。
そんな伊吹さんに、私も九重さんも、思わずドン引き。
志摩「 俺たちパーキング見てきます。被害者はいつも身軽で、小銭入れか鍵だけ持ってた。鍵まで店員が覚えてるってことは？ 」
『 あ、手に持ったまま入ってきた日が何度もあった…？ 』
志摩「 そう、正解。手に鍵を持ってるってことはよっぽど家が近くか？ 」
『 車で来ていた、車のキー？ 』
志摩「 その通り。よくわかったな 」
陣馬「 お前、指導係向いてんな 」
正解、と言って褒めてくれる姿はさながら小学校の先生のよう。
志摩「 犯人は、被害者のポケットから何かを握って逃げた。財布のような大きいものじゃない。 」
陣馬「 盗んだのが車のキーだとしたら、車を盗むのが目的か 」
志摩「 車の中になにか置いていた可能性もあります。この辺りにパーキングは一か所だけ。しかも、犯人が逃げた方角にある 」
『 すご、志摩さん、すご…… 』
志摩「 行きますよ 」
歩いていく志摩さんと伊吹さんの背中を追いかける。
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