□メロンパン号 ページ25
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桔梗「 あれね、張り込みに時々使ってた警察車両。
他に余ってる車ないんだから、仕方ないでしょ 」
伊吹「 てか4機捜の車って他にもありますよね？それ俺たちが
当番のとき貸してくださいよ〜 」
桔梗「 A 」
『 はい！ 』
桔梗「 他のチームが車貸してくれると思う？ 」
いきなり名前を呼ばれ慌てて返事をした。
びっくりした、完全に気を抜いていた…
桔梗さんの質問に首を傾げ、グシャグシャになった車を思い出す。
『 無理ですね、無理！ 』
伊吹「 なんでよ〜！あのメロンパンスピード出ないんですよ〜 」
自分たちの車を貸して、グシャグシャの状態で返ってきたら、
私はたぶん大発狂してしまうと思う。みんな多分そう。
それでも伊吹さんの口からは不満が溢れ出す。
伊吹「 いざって時に犯人が追えない、なんのための機捜ですか？ 」
桔梗「 うちは交通機動隊じゃないの。刑事部の機動捜査隊。
事件発生時はいち早く現場に到着して初動捜査に当たる。
機動力は必要だけど交通法規は守らなきゃ行けないし、
スピード出して走ればいいってもんじゃない、志摩！ 」
桔梗さん、勢いがすごい…
志摩さんはぴくりと反応し、桔梗さんに身体を向ける。
桔梗「 文句は、ないよね？ 」
志摩「 ………………ありません 」
伊吹「 うわ〜普通に嘘ついた… 」
『 志摩さん負けてて草 』
志摩「 草ってなんだよ 」
完全に桔梗さんの圧に負けた志摩さん。
モードに入った桔梗さんに勝てる人は中々いないから仕方ない。
伊吹「 さっきまであんな文句言ってたじゃん！
" どうしてこんな車なんだ！メロンパンだぞメロンパン "
って、メロンパン100回くらい言ったじゃん！ 」
志摩「 メロンパン10回程度しか言ってない。俺が言いたかったのは、お前と組んだせいであのメロンパン号─── 」
伊吹「 ほらまたメロンパン。メロンパン魔人！
Aちゃんも何か言ってやってよ〜！ 」
『 え？私は特に…かわいくて好きですよ、メロンパン号 』
伊吹「 もう〜Aちゃんまで！ 」
志摩「 ───あの車に乗る羽目になったという事実を述べただけだ 」
伊吹「 それ文句でしょ？ 」
桔梗「 仲が良くて何より 」
志摩「 仲良くないです。車という密室で長時間2人きりでいる以上円滑なコミュニケーションを心掛けないとさらに苦痛に…… 」
志摩さん、早口言葉得意そうだなぁ。
そんなことを思いながら志摩さんを眺めた。
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