▼ 言葉たらず ページ22
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( 番外編と捉えていただいて構いません )
九重「 ……早瀬さん、それ！ 」
『 え？ 』
九重「 ここ！どうしたんですか？ 」
引き継ぎ作業中。九重さんとふたりきり。
そんな空間で、九重さんが驚いたように私の額を指さした。
九重「 もしかして、さっきの事故で…？ 」
『 あ！確かに、ぶつけました。何かなってます？ 』
九重「 はい、かさぶたになってますけど…痛そう… 」
『 あはは！大丈夫ですっ 』
九重「 大丈夫じゃありません！一応、ガーゼ貼りましょう 」
そう言ってパタパタと救急箱を取りに行った九重さん。
さっぱりクールなイメージだったが、案外優しいんだなあ。
そういえば、志摩さんの声に驚いた時も心配してくれた。
九重「 もう遅いかもしれませんけど、消毒もしますね 」
『 すみません、ありがとうございます…！ 』
九重「 いえ 」
『 ……… 』
すこし、気まずいかもしれない。
顔は九重さんに固定されていて動かせないし。
特に、話す内容もないしなあ…
九重「 あまり、無茶しない方がいいですよ 」
『 え？ 』
九重「 早瀬さんは、女性なんですから 」
眉間に皺が寄ったのが、自分でもわかった。
「女だから」「女だし」「女でしょ」
聞き飽きるほど言われた言葉。女、女、女。
『 女とか男って、関係ありますかね 』
九重「 え？ 」
『 思うんです。" この国を良くしたい、守りたい " 、
そう思うのに、性別も年齢も、関係ないって 』
九重「 ……すみません、迂闊でした 」
『 いいんです、慣れてますから。 』
好感度は、すこしだけ下がったけどね。
そう思いながら窓の外を眺める。あ、鳥の群れ。
『 …そんな顔、しないでください 』
九重「 す、すみません。なんと言えばいいか… 」
『 べつに、何も言わなくてもいいですよ 』
ちらりと顔を盗み見れば、いかにも「反省中」って顔で、
あれ、もしかして少し強く言いすぎたかな？って心配になった。
『 今日は天気がいいです、 』
九重「 自分は！ 」
『 っはい 』
この空間を少しでも良くしよう、と別の話題を出してみると、食い気味に被せられる。
九重「 自分は、差別的な発言をしたいわけじゃなく、その。えっと、なんと言ったら上手く伝わるかわからないんですが、 」
『 はい？ 』
九重「 心配、なんです。早瀬さんのこと 」
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