□逃がさない ページ20
・
無我夢中で走った。
クラクラするけど、今立ち止まったらいけない気がして。
額から流れてくる汗を拭ったら真っ赤で。
『 汗じゃなくて血かよ！笑えね〜！ 』
伊吹「 芝浦大橋…！正面の倉庫街に入った！ 」
『 了解ですっ 』
志摩「 お前ら余計なことするんじゃねえぞ！ 」
逃がさない。絶対逃がさない。
伊吹さん達を追いかけるようにして倉庫街に入ったけど、
倉庫が多すぎてどこの倉庫にいるのかわからない。
そんな時、ガシャンガシャン！とものが崩れ落ちる音が聞こえた。
『 ここかっ…！ 』
入れば、案の定伊吹さんの姿が見えた。
『 伊吹さっ……は！？ 』
予想外だったのは、伊吹さんが犯人の頭に何かを突きつけてること。
数時間前の会話を思い出して、最悪の事態を想定する。
志摩「 早瀬！伊吹！ 」
『 志摩さんっ！ 』
伊吹「 もう、早瀬ちゃんも志摩ちゃんも遅いよ〜。
こいつ撃っちゃってもいいよね？ 」
『 伊吹さん！相手は降伏してます！ 』
伊吹「 轢かれた、殺されかけた。正当防衛だよね？ 」
志摩「 発砲の要件にかなってない 」
伊吹「 規則なんてどうでもよくない？誰も見てない防犯カメラもない。ここにいんのは、俺と早瀬ちゃんと志摩ちゃんと、このクソ野郎だけだ。 」
安本「 許してください！ 」
伊吹「 お前みたいなやつが生きてると、みんな不幸になるんだよ。許せるはずねえだろ。はい、死んだら終わり 」
志摩「 やめろ 」
伊吹「 バイバイ 」
志摩「 やめろーーっ！！！ 」
志摩さんの声が響いたと同時に、私達は伊吹さんの元へ走り出した。
はばたけ 空に！チェンジあんどソウル！
伊吹「 ハハッ。だから懲りたって言ったじゃーん！
もう銃は抜かないよ。どうせ撃ったって当たんないしね 」
突きつけていたのは、拳銃ではなくステッキだった。
伊吹「 うっ、あっ！！ 」
『 っあ 』
志摩さんが思い切り伊吹さんを殴る。
その隙に逃げようとした犯人の腹を殴って手錠をかける。
伊吹「 あっ、あっ？痛えっ。痛え、何？ 」
志摩「 早瀬ナイス 」
『 ああ、すごい、9時ちょうど。
公務執行妨害、道交法違反、傷害、器物破損、その他諸々ね 』
伊吹「 よかったな。誰かを殺す前に捕まって。 」
そう言って微笑む伊吹さんに唾を吐く犯人。
飛びかかろうとする伊吹さんを慌てて押さえつける。
危ない、間に合った。
安心と安堵で涙が出そうになった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
