□撃たない、抜かない ページ16
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伊吹「 見つけたいなあ。居たら絶対音でわかんのになぁ 」
志摩「 伊吹さんさ。」
伊吹「 んー？ 」
志摩「 もし容疑車両見つけても昼間みたいな無茶やめろよ 」
伊吹「 合点承知之助〜 」
『 古っ。古いですね、伊吹さん 』
伊吹「 え？古い？古いかなあ？ 」
それから、少しの沈黙と緊張感。
口を開いたのは、志摩さんだった。
志摩「 麻布中央署にいた時、犯人タコ殴りしたって本当か？ 」
伊吹「 ありましたねえ、そんなことも 」
志摩「 やめろよ。お前が不祥事起こせば、俺も早瀬さんも陣馬さんも隊長も迷惑かかる 」
伊吹「 俺だってもう懲りましたよ〜。始末書何十枚も書かされて、飛ばされるわ怒られるわ 」
志摩「 いっそのこと懲戒免職になればよかったのに 」
伊吹「 しかもあん時は拳銃まで出しちゃったんすよねえ 」
志摩「 はあ！？ 」
『 けけけけけけけけけ拳銃！？ 』
伊吹「 あはっ、早瀬ちゃん落ち着いて！ 」
それまで黙って聞いていたけど、さすがに我慢できなかった。
さすがの志摩さんも、口をあんぐり開けている。
伊吹「 犯人がクソみたいな真似すっから、もう撃ってやろうかと思って 」
志摩「 思うなよ、軽々しく！ 」
伊吹「 え？銭形警部とか"あぶない刑事"とか憧れなかった？
ほら、バンバン撃つのとかさ。えーっ？ 」
志摩「 現実の刑事は9割が引退まで拳銃を抜かない。
"撃たない"じゃない、"抜かない"んだ。それが日本の警察。 」
それが、日本の警察の良いところであり、悪いところ。
と、心の中でつぶやく。
伊吹「 もっとラフでいいのにね 」
志摩「 いいのにね、じゃねーよ！ 」
伊吹「 ほら、青だよ。ほら、ちょっとあっち回って？
もう全然来ないよ、車とかさ 」
それからしばらく経っても、白いステーションワゴンは通らなかった。
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伊吹 side
伊吹「 あ。早瀬ちゃん寝てる 」
志摩「 え？……本当だ 」
不意に後部座席に目をやると、すやすやと眠っている早瀬ちゃんの姿。かわいい子は寝てる姿もとびきりかわいいなあ。
伊吹「 きゅるんっ、としてるよね、寝顔 」
志摩「 きゅる？いや、あんまり分からない、その感じ 」
伊吹「 過去に、何があったんだろうね 」
志摩「 え？……ああ。 」
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