□指切りげんまん ページ11
・
志摩「 あと、一つだけ言わせてもらう 」
伊吹「 まだ言うの？ 」
志摩「 俺は自分のことを正義だと思ってる奴が1番嫌いだ 」
" 警視庁から各局、墨田署管内。
吾妻◯◯公園にて、83歳が行方不明 "
志摩「 一度分駐に戻る 」
伊吹「 ちょ、たんまたんま！ 」
志摩「 徘徊老人の保護は機捜の仕事じゃない 」
伊吹「 シーッ、シーッ！ 」
" 着衣はグレーのカーディガン、ピンクのストール、花柄の杖。
近い局捜索願いたい "
伊吹「 昼間のばあちゃん、家に帰れてない 」
『 ばあちゃん？ 』
志摩「 伊吹のせいで転んだおばあちゃん 」
『 え、その人が帰れてないんですか？やばくないですか！
探しましょう、ね？探しましょうよ！ 』
志摩「 ……あーっ、もう！ 」
志摩さんはハンドルを握って大きな声を出したあと、外に出た。
志摩「 ……行くなら行くぞ、早くしろ 」
『 志摩さん…！！！ 』
・
警察官「 一緒に買い物に出かけて、途中で疲れちゃって、歩きたくないってだだをこねたんですって。
ところがいつまで経っても戻ってこない。それで近所の交番に。 」
志摩「 保護者はどこに？ 」
警察官「 親戚の葬儀に両親揃って出ていて、ついさっき連絡がつきました。今新幹線でこっちに向かってますから大丈夫です 」
千砂「 おばあちゃん、帰ってこなかったらどうしよう… 」
悲しそうな顔をする女の子。
きっと、自分が悪いって思ってしまっている。
『 千砂ちゃん、大丈夫。おばあちゃんは、私たちが必ず見つける 』
千砂「 …ほんと？ 」
『 ほんと！お姉さんと、約束しよ 』
千砂「 …うん 」
指切りげんまん、嘘ついたら針千本のます。指切った。
そう言って笑うと、千砂ちゃんは小さく笑ってくれた。
『 千砂ちゃんのせいじゃないから。1人で交番行けて偉かったね 』
千砂「 ……っうん 」
ぎゅう、と小さな体を抱きしめる。
きっと、すごく怖かっただろうし、不安だろうから。
伊吹「 よしっ、行きますか！ 」
『 じゃあ、捜しに行ってくるね 』
千砂「 うん… 」
千砂ちゃんを撫でてから、伊吹さんを追いかける。
前を歩く伊吹さんの背中が、すごく頼もしく見えた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
