魔法が解けても側にいて King&Prince (ページ20)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:61,117 hit

2 ページ20

＊

「……グリム童話のシンデレラ物語、どのような話かご存知ですか？」

小さい頃夢見たお姫さまの記憶を呼び起こす

義理の姉にいじめられていたシンデレラは

魔法使いに魔法をかけられて

舞踏会で王子様と出会う

でも、その魔法は12時までしか効かなくて

12時の鐘を聞いたシンデレラは、お城から飛び出してしまって

残ったガラスの靴を頼りにシンデレラを探した王子様と、また出会う

「その通りです」

話を聞きながら一面のボトルを拭いていた彼が、突然、手を止める

「ではなぜ、魔法は12時に解けてしまうのでしょうか」

言われてみればその通りだ。

シンデレラが普段のいじめを忘れて、舞踏会を心ゆくまで楽しむことを魔法使いが望んでいたのならば

解けない魔法をかけてあげても、良かったはず

「魔法使いの力が足りなかったから、や、他の人の願いを叶えるためだ、など、色々な説はこれまでにも挙げられています」

童話の魔法使いは、美しく綺麗ですから

そう呟くと、彼の長い睫毛が瞳に陰を落とす

「もし、貴女がシンデレラ、私が魔法使いだとしたら

私も、別の理由で12時までの魔法をかけると思います」

＊