魔法が解けても側にいて King&Prince (ページ11)

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「モスコミュールでございます」

差し出されたカクテルは、銅のマグカップに入っていた

それを当てることなくお互い飲む。よく冷えたカップと辛口のジンジャーエールの刺激が、心地よく喉を焼く。

きっと海人も好きな味。

口に出さずに海人を見ると、海人も私を見ていた。ジンジャーエールの泡が弾けるより早く、お互いの視線を逸らす。

「モスコミュールのカクテル言葉、ご存知ですか？」

いえ、と首を振ると、バーテンダーは少し嬉しそうに笑った。

海人もこの人も冷たい。知らなくて悪かったわね、と、顔を背けてカウンターの端を見る

「モスコミュールのカクテル言葉は、

『喧嘩したらその日のうちに仲直りする』です」

誇らしげに微笑むバーテンダーと、恥ずかしさで頬が熱くなる私。

「……ごめん」

海人がいつもの濡れた瞳で私を覗き込む。

「Aに、たまにはやきもち焼いてほしかった」

ふふ、と思わず笑みがこぼれる私を、海人は不思議そうに首を傾げて上目遣いで見上げる。

「ごめんね、私も一緒」

海人も安心したように頬を緩める。初めてのごめんね、も意外と悪くなかった

「……乾杯、しよっか」
「うん」

少し汗をかいたカップを当てるとカラン、と朗らかな音がした

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