. ページ43
.
お昼休みの開始のアナウンスが鳴って顔を上げると、目があった結衣が『行こ！』と口パクで合図をして来た。
「かなりご機嫌じゃない？」
「えへへ、まあね？
最近はAに幸せのおすそ分けしてもらってばっかりだったけどさ、珍しくいい事あったの！」
よく晴れた街並み。もう冬なのにアスファルトの照り返しが眩しく感じる。
行きつけの、ランチタイム850円のカフェ。コーヒー至上主義の私が惚れ込んだ、果汁100%のオレンジジュースが喉を駆け巡る。
「で、何？話って」
「えーっとね……、
うわ、いざとなると話すの緊張する」
胸に手を当てて、深い息を吐く。伏せたまつ毛のカールが、頬に影を落とした。
「私、自分の話するのがあんまり得意じゃなくて。
Aにもあんまり話せてなかったからびっくりするかもしれないんだけど」
パンとビーフシチューが、私と結衣の目の前に置かれる。
店員さんが伝票をテーブルに置いた、瞬間。
「彼氏にね、逆プロポーズしたの」
「……は？」
「そろそろ結婚してよ、って。
そしたら彼氏も、そうだねって言ってくれて。
だから私、結婚することになった！」
結衣の笑顔がキラキラと輝いていて。
「え！おめでとう！」
「わー……、緊張した……」
「彼氏に逆プロポーズする勇気はあるのになんで今緊張するのよ」
「ふふ、確かに」
「もー、羨ましい！幸せになるんだよー！」
「ありがと。Aも今の好きな人ゲットできるように応援する！
ねね、次はいつ会うの？」
「今日の夜、かな？」
「かな？って！楽しみで仕方ないくせに！」
昨日の優太さんの話が、今となっては心の隅っこに追いやられて。
結衣と楽しく盛り上がっていたら、仕事には遅刻ギリギリで。
でもそんなのどうだっていいってくらい、私まで幸せな気持ちになった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1998人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆん(プロフ) - かかさん» かかさん！初コメありがとうございます！ここからさらにこじれにこじれていきますので……！ぜひお付き合いください！ここまで読んでくださってありがとうございます！ (2018年11月30日 20時) (
レス) id: 5c047cc90b (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - ひかるさん» いくらでも直視するから譲ってください……笑 それだけの方に愛されてたんですからひかるさんにも魅力があったんですよ！羨ましいです！笑 (2018年11月30日 20時) (レス) id: 5c047cc90b (このIDを非表示/違反報告)
かか(プロフ) - 初めまして！いつもお話楽しく読ませて頂いてます！移行、おめでとうございます！ドンドンパチパチ！人間模様が益々こじれてきましたね。。目が離せません！！ (2018年11月29日 21時) (レス) id: 84d095d3ac (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - まぁ譲れるもんなら譲りたいよ笑 イイ子でも私にはフィットしなかったし。周りからは直視できないくらいイケメンて言われてたけど彼の顔面に全く興味なくて、何で私みたいな女を好きになったんだか意味不明だったし笑 (2018年11月23日 0時) (携帯から) (レス) id: 075c6f1d28 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - ひかるさん» リアルなら本当に地獄、、笑 私も言わせてください、それは勿体ないです！譲ってください！(？) (2018年11月21日 21時) (レス) id: 5c047cc90b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆん
| 作成日時：2018年11月5日 20時
