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可之助の腹が、大きく割れた。滴る血液を手に掬い、未だ信じられないとでも言いたげな表情だった。
「A、さん...？.な、で...」
ドサリと崩れ落ちた可之助の体は、溢れ出る血液ですぐに真っ赤に染まった。
可哀想だとか、ごめんだとか、思ってやれるほど俺は暇じゃない。
「恨むなよ...」
ただそれだけを言い残し、その場を去った。
まだ戦は続いている。
また顔見知りに会うかもしれない。
でも、これは命令だ。これは仕事だ。
迷う必要も、余計な事を考える必要も無い。
元就に、自分の主に従うまでだ。
「元就......後悔するなよ。」
俺は今、何をしている？
古き良き友人の軍を、味方を、知り合いを、
虱でも潰すように斬り捨てる。
なぁ元親よ。
お前の眼に、今の俺はどう映る。
「..........」
駄目だ。
考えるな。
頭を無駄に動かしていては、手が遅くなる。
頭ではなく、四肢を、体を動かせ。
何も考えるな。
「A様ぁ！！」
遠くで俺を呼ぶ声がした。
「こちら！用意が整いまして御座います！！」
「すぐ行く。」
可之助の亡骸を避けて、呼ばれた方へ歩みを進める。
今はただ、任務を遂行するだけだ。
呼ばれた場所まで向かうと、そこには乱雑に積まれた死屍があった。
辺りに戦場で儚く散ったウチの兵士達と長宗我部の兵士達。
ウチの一兵卒には予め徳川の鎧を着せていたので、死体回収する必要も無い。
夥しい数の死屍累々の前に立ち、ウチの忍び隊が丁重に持ってきた それ を持つ。
それ は先端に円い飾りがついた槍であった。
いつかの竹千代...否。徳川家康が使っていたものである。
その切っ先に垂れていた血液を付着させ、迷いも無く、勢いのままに死屍に突き刺した。
丁度こちらに顔を向けるように重なっていた兵士の口に、残っていた徳川の軍旗を突っ込み噛ませておく。
「よし。全員船に戻れ！
長宗我部の生き残りが居れば必ず息の根を止めろ！一人残らず根絶やしにする！」
そう号令をかけると、流石は元就の兵である。
統率の取れた、素早い移動で急ぎ足に船に戻り始めた。
俺も最後の船を見送り、もう一度生存者が隠れていないか確認をした後、再び疾騎に飛び乗った。
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句読点 - あざまっす！が、頑張ります！！w (2016年12月26日 16時) (
レス) id: 5463a90292 (このIDを非表示/違反報告)
^ ^ - おもしろいと思います。更新お待ちしています。 (2016年12月25日 23時) (レス) id: 40794b7b49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：句読点 | 作成日時：2016年8月13日 20時
