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その日は、いつになく波が高かった。
荒ぶる海面に、深碧の軍旗を掲げた軍船の姿があった。
「機は訪れた。全ては我が安芸毛利家安泰の為に。」
元就がそう一言言うと、兵士達は自が武器を高く掲げ吠えた。
そして、自らの軍の御旗を下し、あろう事か敵軍である徳川の旗を掲げた。
帆を張った毛利の水軍は、一隻たりとも遅れること無く進み始めた。
狙うは四国。
長宗我部元親不在の時を見計らってきた。
ついに、その時が来たのである。
「A、貴様は後の殿を務めよ。
ただの一人たりとて残すでない。」
「承知。」
元就に稀遼を預け、俺は疾騎の背に乗る。
船の甲板に上がり、元就に一礼してから疾騎が大きく跳躍する。
そのまま一気に海面を走り出す。
徐々に戦場が近付くにつれ、刀の交じり合う音や誰かの断末魔が聞こえてくる。
その全ても、時折聞こえてくる大筒の音にかき消される。
近くにあった長宗我部軍の船に飛び乗り、そこらの死体から刀を拝借する。
「あ、刀重い！」
普段は苦無や手裏剣などの軽い飛び道具などを主に使っていたので、久しぶりに刀を握るとずっしりきた。
しかも近くに居た二、三人を斬っただけでもう血だらけになり使えなくなってしまったので捨てた。
後ろから迫る敵兵の殺気を背中越しに感じ、振り向きざまに飛苦無を投げてみた。
するとガシャン、と刀を落とし、低く呻きながら手に刺さった苦無を引き抜く兵が居た。
「いやーやっぱ、武器は軽くて使い慣れたのがいいよねっ」
見知らぬ顔の兵士にそう笑いかけると、兵士は俺の顔を見るなり絶句した様な表情で歪な笑みを浮かべた。
そしてこの後自分の身に何が起こるのか察したのか、その場にへたりと座り込んだ。
その兵士の首を手短に切断し、死体を跨いで船を移動する。
向かった先には見慣れた兵士の顔があった。
「え？....A、さん...？」
「おや。確か....可之助、だっけか？」
「なん、でここ...に？今、アニキが、居なくてっ、家康さんが！ウチをっ！！」
「あー、知ってる知ってる。だから来たんだよ。」
「え？」
「仕事だよ。いやーまさかこんなトコで出くわすなんてねぇ。
......なるべく、知人は殺したくなかったんだけどなぁ。」
困った様な苦笑いを浮かべると、可之助は理解できていない様だった。
「命令なんだ。悪いけど......死んでもらうよ。」
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句読点 - あざまっす！が、頑張ります！！w (2016年12月26日 16時) (
レス) id: 5463a90292 (このIDを非表示/違反報告)
^ ^ - おもしろいと思います。更新お待ちしています。 (2016年12月25日 23時) (レス) id: 40794b7b49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：句読点 | 作成日時：2016年8月13日 20時
