4 ページ5
「マツ。落ち着いて良く聞け。
お前のお父上が、弘元様が..........死去された。酒毒だったそうだ。」
「っ!.........」
目を見開いて凍りついたマツ。
無理も無い。まだ、10の子供だったんだ。
母君だって、幼い頃に御隠れになられて......
今までずっと俺がここまで育てて来た。
唯一の、実親を亡くしたんだ。
「お前が言った通り、次期当主は興元様だ。」
そう告げると、マツは徐々に顔を伏せた。
「そう、か。解った。」
歯切れの悪い返事をして、俺に背を向け 読みかけの本を閉じる。
「悪いが、席を外してはくれぬか」
「.......承知。」
すっ、と立ち上がり部屋を出る。
ぱんっ とワザと気に音を立てて襖を閉めた。
その音がマツが洟をすするのを、奇麗にかき消す。
次第に、ひっくひっく と噦り上げる声が聞こえて来た。
それはだんだんと獣が唸るような、声を押し殺した泣き声に変わっていく。
俺はそれをただ黙って聞いているだけだった。
29人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
句読点 - あざまっす!が、頑張ります!!w (2016年12月26日 16時) (レス) id: 5463a90292 (このIDを非表示/違反報告)
^ ^ - おもしろいと思います。更新お待ちしています。 (2016年12月25日 23時) (レス) id: 40794b7b49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:句読点 | 作成日時:2016年8月13日 20時