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「松寿丸様！松寿丸様！どこへ行かれたのですか！？」
少々広めの庭先に、数人の女中の声が響き渡る。
俺は、植えられた大きな一本桜の上で休んでいた。
折角一眠りしようと思ったのに。
「どうかしたのか？」
ひらりと木から下りると、女中が一気に寄ってくる。
「A様！」「A様！」「松寿丸様を見られませんでしたか！？」
「一斉に喋るな！まったく...
俺は見ちゃいないが、マツがどうかしたのか？」
「武芸のお稽古の途中で逃げ出されたのです！」
どうしましょう。と頭を抱える女中を横目に溜め息を吐く。
ああもう、またか。
思いながら女中に笑いかける。
「良かったら一緒に探そう。本来は御付きの俺がやらにゃならん仕事だ。」
そう言うと、ばっ、と顔をあげたかと思うと すぐに深々と頭を下げられる。
有り難う御座います。有り難う御座います。と繰り返す彼女等に苦笑いしかできなかった。
皆がバタバタと屋敷の中や外周りを探している中、俺は悠々と歩き出す。
マツが逃げ出すのは、何もコレが初めてってワケじゃない。
粗方の目星はついていた。
普段誰も近寄らない古い書庫。
マツが逃げ込むのは何時だって此所の奥の方。
積み重なった木箱の裏で膝を抱えている。
「まーつっ。」
「！？」
木箱の上から声をかけると、驚いたのか ビクリと肩を揺らしてこちらを見る。
相手が俺だった事を確認して、マツは安堵の息を吐いた。
「まーた逃げ出したな。
上手くいかなかったのか？」
「.......我に刀は合わぬ。」
また、ふいっ と背を向けられる。
今日は一段と拗ねてしまっている様だ。
「言い訳 言い訳。
次期 当主がそれでいいんですかい？」
うっ、と言葉を詰まらせ肩を強張らせたが、またすぐに俯いてしまう。
「どうせ、兄上が次期毛利を治める事になろう。
そして........A、お前もいずれ兄上の忍となろう。」
表情を翳らせるマツ。
俺は、マツの目の前にしゃがみ込んだ。
視線の高さを合わせ、そっと頭に触れる。
頭に「？」を浮かべコチラを見るマツの目には、うっすらと涙の痕があった。
「泣いてたのか？」
「........」
ふるふると首を横に振るマツに微笑みかける。
「俺の主はお前だよ。胸張れ。」
座ったままの体勢で、ふわりとマツを抱きしめると、着物の胸元を強く握られた。
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句読点 - あざまっす！が、頑張ります！！w (2016年12月26日 16時) (
レス) id: 5463a90292 (このIDを非表示/違反報告)
^ ^ - おもしろいと思います。更新お待ちしています。 (2016年12月25日 23時) (レス) id: 40794b7b49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：句読点 | 作成日時：2016年8月13日 20時
