イヤーマフの中で２ (ページ3)

今日:11 hit、昨日:23 hit、合計:22,717 hit

いいよねページ3

阿部side

決心がつかないまま、自粛期間が明けた。

無事に世間には誤解が解けたものの、Aさんとは全く話していない。

どうしても自分の指がメールの送信ボタンを押せなくて、もどかしい。

押せたらきっと、楽なのに。

「はーい、送信かんりょー！」

『っちょ、おいおい、え、』

俺の瞳の先には送信されている“会えませんか”というメッセージ。

『…ラウール泣』

「だって、どうせ阿部ちゃんだけじゃ言えないでしょ？」

「めめがフラれたからって諦める必要ないじゃん。」

「そうだそうだ、阿部ちゃんも言ってよ」

いつのまにかめめも携帯を覗いてからこちらに向いた。

　

『いやぁ…』

ずっと見つめていると、ついた“既読”の文字。
何でこんな時だけ早いんだよAさんの既読…！

「ほーら既読ついた！」

「こっからは見ないからさ！頑張ってよ！」

そう言ったラウールは半ば強引にめめを連れて仲良さそうに事務所内のどこかへ行ってしまった。

『本当にあいつらは…』

恐る恐るメールを見る。

“絶対に、週刊誌に撮られないなら。”

“大丈夫です。”

『え、OK、ってこと…？』

おそらく俺の頭は文脈から“OK”って信号出してる。

いや俺が強引にそういう信号出してるだけかも。

「お、OKってことじゃないですか、」

　

『また出てきたのか！』

「ふはっ笑阿部ちゃんも思ってるでしょ？会いたいって」

『いや、まあ、謝りたいっていうか。それだけ。』

「だったらこんなのOKに決まってるでしょ。Aさんも会いたがってるんだから。行きなさい！笑」

いいんだよね。これがラストチャンスだから。

踏み出してみても、

いいよね。