川魚の王子様 2【桃色】

feat.70 ページ22

しばらく歩くと、


「ここだよ」


前を見ると、


「すごい…」


花公園のような場所だった。


街灯に照らされて、昼間とは全く違う顔をした花たち。


「回ろっか」


歩幅を合わせてくれるモトキくん。


「Aってさ…」


静かな公園内では、普通の声でさえ響く。


「ん？」


なかなか続きを言い出さないモトキくんを見ると、なんとも言えない顔をしている。


困ってるような、泣きそうな、そんな顔。


「やっぱなんでもない！」


そう言って、顔を逸らす。


「えっ、気になるよ」


「いつかね、いつか言うから」


それ以上は聞いてはいけない気がしたので、いつか言ってくれるまで待つことにした。


それから、特に話すこともなく、ただただ歩いて回った。


「ねぇ、向こうにもなんかあるよ。行ってみる？」


ぼんやりと、何かが見える。


「うん」


近付くにつれて、はっきりと見えてくる。


「アスレチック…!!」


正体は、遊具だった。


「アスレチック鬼ごっこしよ！」


「じゃあAが鬼ね。俺を捕まえてよ」


そう言って、モトキくんは走り出す。


「あっ、待ってよ!!」


夜の公園。


2人の声と、足音が響く。


「やっと捕まえた…」


「んじゃ、次俺が鬼ね」


疲れてるはずなのに、そんなことも忘れてはしゃぐ。


「行っくぞー！」

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