16モチ ページ17
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ある日の記憶がよみがえった。
怒号と泣き声が木霊する空間。
私は暗くて狭いところにいて、周りにはなにもない。
小さい私はなにもできなくて、ただ聞こえてくる音に怯えることしかできない。
本当に嫌な記憶。
今日、久しぶりに思い出した。
「よぉ、元気にしてたか。」
ぼさぼさの頭。よれた柄物のシャツ。
白髪のまじった髪が長い年月が過ぎたことを感じさせる。
最も会いたくなかった人物。
その男が私とカタクリさんの前に立っていた。
カタクリさんは、誰だというふうに睨んでいる。
さっきまで楽しいデートだったのに、こいつのせいでぶちこわされた。
憎しみをこめた目で男を見つめる。
奴は、ヘラヘラと笑っていた。
「なんだぁ、となりの男は。ああそうか、もうそんな年になるのか。
色気づきやがって。」
ぶつくさと話しながら、地面に落ちている小石を蹴る。
ああ、本当に嫌悪する。
奴の言葉を無視して、カタクリさんの手をひいた。
「いきましょう。」
カタクリさんはなにも言わなかった。
男の横をとおりすぎる時、ボソッと呟かれた言葉。
「おい、お前の男は知ってんのか？お前の初体験が・・・。」
思わず足が止まった。
最後までは聞こえなかった言葉。
でもきっと、カタクリさんには聞こえていたはず。
ドクンドクンと心臓の音が激しい。
嫌だ。知られたくない。
思い出したくもない記憶の数々が鮮明によみがえってくる。
息がしづらい。
「かた、くりっさん。」
ギュッと引いている手を強く握る。
すると、グイッと手を引っ張られた。
引いてたはずの手が、今度は私がカタクリさんにひかれている。
奴の存在なんて気にしないというふうに前を進むカタクリさん。
彼の顔が見えない。
「また会おうな、A。」
後ろに父親と呼ばれる存在の大嫌いな人の声を聞きながら
前を歩く彼を見上げた。
カタクリさん。
今なにを考えていますか？
やっぱりこんな女の子は気持ち悪いですか？
喉の奥がギュッとして、苦しい。
続く (更新停止中)
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なのこ(プロフ) - yuka390822さん» 感激していただけるなんて、光栄です！コメントありがとうございます！ (2018年6月12日 21時) (
レス) id: 5816d88e2f (このIDを非表示/違反報告)
yuka390822(プロフ) - 感激号(┳◇┳)泣 (2018年6月12日 16時) (レス) id: 967b96f7da (このIDを非表示/違反報告)
なのこ(プロフ) - 露木さん» コメントありがとうございます！そんなふうに言っていただけるととても嬉しいです！これからも暖かい話を書けるようにがんばります！ (2018年6月12日 7時) (レス) id: b4745be509 (このIDを非表示/違反報告)
露木(プロフ) - カタクリさんの逆トリだー！やったー！とはしゃいでしまいました…！思わずにこにこしてしまうような温かいお話で、続きがとっても楽しみです！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
なのこ(プロフ) - あすこここさん» 初コメにとても感動しています！ありがとうございます！カタクリ様には少しトリップの副作用ということで縮んでしまったということにしてしまいました笑 (2018年6月10日 22時) (レス) id: b4745be509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なのこ | 作成日時：2018年6月8日 21時
