12モチ〜カタクリside〜 ページ13
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「おいっ。」
Aは俺の制止も聞かずに、たんたんと服を脱いでいく。
上着を脱いで、とうとう薄着になったAは後ろを向いた。
「本当は、あまり見せないんですけど。」
そうつぶやいて、来ている服の裾をまくる。
徐々に表れていく腰。
女らしい曲線の中、痛々しい傷跡が目に入った。
これは、火傷のあとか。
「昔、いろいろあって。」
後ろを向いているため、Aの表情は読み取れないが
声には緊張したような感情が含まれている。
色々。
その言葉に含まれた事情はわからないが、あまりいいものではなさそうだ。
服の裾をおろすと、そのまま話し続ける。
「腰の傷なんて、普段は見られることないんですけど、やっぱり小さい頃とかは見られることが多くて。体育の時間とかありますから。」
女にとって傷跡は、いいものではないだろう。
人間は、自分と違ったものを持つ者に好奇な目を向けてくる。
「笑われることはないですし、はっきりと口には出されないんですけど。
やっぱり感じるんですよね。他人のよくない視線とか。」
なにか過去を思い出しているのか。
考えるまでもなく、それはきっといい過去ではない。
なぜだろう。
こいつにこれ以上、その過去を思い出させたくない。
「風邪をひく。」
無理矢理だが、話を終わらせるためにAが脱ぎ捨てた上着を拾って、肩にかけた。
服が肩にかかった瞬間、少しだけ肩が揺れる。
数秒の間の後、上着をつかむと、こちらに向き直った。
澄んだ瞳が俺の目をじっと見つめる。
「見るつもりはなかったんですが、カタクリさんの人に見せたくないところを見てしまったので。」
頬を少し緩ませた顔でAは笑う。
「これでおあいこにしませんか。」
おあいこ。
子供じみた言葉に、なぜかひどく安心した。
こいつは不思議だ。
数日前、俺に堂々と家に帰るのを手伝うと言っていたのに。
今度は俺に弱味を見せて、
そしてまた笑う。
家族以外で、まるで敵意も嘘もない、そんな目で見つめられるのは慣れていない。
だからか、こいつに目を合わせられるとそらせなくなってしまう。
「あぁ、おあいこだ。」
がらにもなく、他人の言葉にあわせてしまった。
こっちに来てから、俺らしくないことをしてばっかりだ。
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なのこ(プロフ) - yuka390822さん» 感激していただけるなんて、光栄です！コメントありがとうございます！ (2018年6月12日 21時) (
レス) id: 5816d88e2f (このIDを非表示/違反報告)
yuka390822(プロフ) - 感激号(┳◇┳)泣 (2018年6月12日 16時) (レス) id: 967b96f7da (このIDを非表示/違反報告)
なのこ(プロフ) - 露木さん» コメントありがとうございます！そんなふうに言っていただけるととても嬉しいです！これからも暖かい話を書けるようにがんばります！ (2018年6月12日 7時) (レス) id: b4745be509 (このIDを非表示/違反報告)
露木(プロフ) - カタクリさんの逆トリだー！やったー！とはしゃいでしまいました…！思わずにこにこしてしまうような温かいお話で、続きがとっても楽しみです！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
なのこ(プロフ) - あすこここさん» 初コメにとても感動しています！ありがとうございます！カタクリ様には少しトリップの副作用ということで縮んでしまったということにしてしまいました笑 (2018年6月10日 22時) (レス) id: b4745be509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なのこ | 作成日時：2018年6月8日 21時
