10モチ ページ11
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ある日の午後。
会社にいた私は１つのことを思い出す。
あ、今日カタクリさんのお昼ご飯を用意するの忘れた。
彼がひとりで自分の分のご飯を作ってくれることを祈りたいけど
どこになにが置いてあるかも教えてないし、なにより心配だ。
お昼休みになったらコンビニで買って届けてあげよう。
・
時間はすぎて午後２時。
私のお昼時はしっかりと仕事で潰されてしまった。
まいったな。
カタクリさん、大丈夫かな。
そんなことないと思うけれど、カタクリさんがお腹がすきすぎて倒れこんでる姿が浮かんだ。
まぁ、ドーナツはあると思うんだけどね。
それでも彼がいつも食べる量からしたら、ドーナツだけで足りるわけがない。
チクタクと、時計の針が進んでいく音がやけに大きく聞こえる。
心配だ。
「あぁもう！すみません、早退します！」
「え、ちょっ、Aちゃん！？」
同僚が驚いているのを無視して、上司にだけしっかり伝えた。
上司は驚いていたけれど、まぁなんとかなるのが私の会社で。
会社をでたのは２時半だった。
・
コンビニによって二食分ほど買った。
一応シュークリームも買っておいた、お詫びとして。
カツカツとヒールの音を鳴らしながら、階段をのぼる。
今日はいつもより早く帰って来たから、カタクリさん驚くかな。
彼のあの仏頂面が崩れるところなんて想像できないけど。
カタクリさんがいるとわかっていたから、声をかけながらドアを開けた。
「カタクリさーん、生きてますかー？」
ヒールを脱いで、玄関にそろえる。
ん、なんか人の声が聞こえるな。
カタクリさん、テレビでも見てるのかな。
彼の足が見えたから声をかけようと口を開く。
でも、その口は開いたままふさがらなくなってしまった。
「あぁうまし！！ドーナツうまし！！」
部屋に入って最初に目についたもの。
大きな口。
鋭い牙。
消えていくドーナツ。
寝そべりながら食べるカタクリさん。
「穴までうましドーナツ！」
彼はわたしに気づいていないらしく、バクバクとおいしそうにドーナツを食べている。
普段のカタクリさんからは想像のできない姿で。
目を瞑って、本当に幸せそうに食べている。
ああ、私はこの人と。
一つの気持ちが高ぶったとき、彼は私に気がついた。
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なのこ(プロフ) - yuka390822さん» 感激していただけるなんて、光栄です！コメントありがとうございます！ (2018年6月12日 21時) (
レス) id: 5816d88e2f (このIDを非表示/違反報告)
yuka390822(プロフ) - 感激号(┳◇┳)泣 (2018年6月12日 16時) (レス) id: 967b96f7da (このIDを非表示/違反報告)
なのこ(プロフ) - 露木さん» コメントありがとうございます！そんなふうに言っていただけるととても嬉しいです！これからも暖かい話を書けるようにがんばります！ (2018年6月12日 7時) (レス) id: b4745be509 (このIDを非表示/違反報告)
露木(プロフ) - カタクリさんの逆トリだー！やったー！とはしゃいでしまいました…！思わずにこにこしてしまうような温かいお話で、続きがとっても楽しみです！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
なのこ(プロフ) - あすこここさん» 初コメにとても感動しています！ありがとうございます！カタクリ様には少しトリップの副作用ということで縮んでしまったということにしてしまいました笑 (2018年6月10日 22時) (レス) id: b4745be509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なのこ | 作成日時：2018年6月8日 21時
