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優太side
車の中で廉とAちゃんが楽しそうに話している。
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それを見て気持ちモヤモヤする。
Aちゃんが憧れの廉と話してるなんて良いことなのに、
素直に喜べない自分がいた。
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「優太ん家、ここら辺よな?
すいません運転手さん、じゃあ次、優太の家で。」
「あっ…ありがと、廉…。」
残るは俺と廉とAちゃんのみ。
本当は二人きりになんてしたくない。
でも、それっぽい理由なんてつけられないし、
きっと彼女は俺なんかより、
廉と一緒に居られる方が嬉しいに決まってる。
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そして二人はまた話し始める。
聞きたくないと思えば思うほど、聞こえてしまう会話。
Aちゃんも廉って呼び捨てにしてるし…。
彼女を見つけたのは俺なのに…。
俺の方がもっと彼女のこと前から知ってたのに…。
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まるで、自分の宝物を取られたみたいな気分だった。
って…Aちゃんは最初から廉が好きだし、
俺のもの、なんて強欲過ぎだよな。ただの友達だもん。
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そう、ただの友達。
俺はそう思い込むことで、
なんとか自分を保とうとしていた。
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好きだ、なんて認めたら、
俺は自分を責めてしまう。
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でも本当はわかっていた。
もうすでに彼女を好きになっていたこと。
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でも結局、俺の恋は自覚する前に
終わっていたんだ。
俺が電話をして
会いたいと言ったら、はぐらかされ、切られてしまった。
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叶わない恋なら、
誰にも秘密のまま、この気持ちごと消えてしまえば良いのに…。
叶わない恋なら、
早く諦めろよ。
そう自分に向かって言うけれど、そう簡単にはいかないんだ。
彼女も前はこんな気持ちだったのかな。
胸が、痛かった。
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lemon09(プロフ) - 一気読みしちゃいました! 続きが楽しみです。 (2020年12月5日 2時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mother | 作成日時:2020年5月26日 0時