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Aside
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家の中に入ると、外よりも暗闇に包まれていた。
電気を付け、ソファーに倒れこむ。
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大きなため息が出る。
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さっきまで一緒にいた岸くんのことを思い出す。
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“優太って呼んでください。“
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“俺、待ってるんで、ずっと。”
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彼の言葉一つ一つが、私の心を揺さぶる。
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来週水曜日、お昼。
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平日のお昼なんか、
主婦にとっては暇な時間。
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そりゃ家事だってあるけれど、
毎日がそんなに忙しいわけじゃない。
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ずるいよ、岸くん。
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私に選択させるなんて。
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ねぇ、許されるの、私?
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棚に飾ってある家族写真をソファーの上から見つめる。
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でも当然、何も返事は返ってこない。
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『優太…くん…』
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彼の名を呼び、そのまましばらく眠った。
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作者名:Mother | 作成日時:2020年4月3日 21時