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『今日はね旦那が出張で、空も友達の家へ泊まりに行ってるの。』
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「そうなんすね!」
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話を聞くと旦那さんは仕事柄出張が多く、
家に帰ってきてはまた遠くへ行ってしまうらしい。
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『空もね、友達ができてくれることはすっごく嬉しいんだけど、
その分、私から離れて行っちゃって…
親離れっていうのかな…私も、子離れしなきゃいけないのにね…。』
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どうやらAさんはかなり寂しい生活をしているようだった。
俺はそんな彼女を見て、俺が寄り添ってあげられたらいいのに、と思った。
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『でもね、空がこの間、私の誕生日にお花を買ってきてくれたの、
とっても嬉しかったんだ。
それで、そのお花屋さん一回行ってみてよ、お母さんも気に入るからって…
もしかして空、岸くんのこと気づいてたのかな…?』
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確かに彼は俺の名前を知っていた。
だから俺だってわかってたのかもしれない。
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でもなんでAさんを店に来させたりしたんだろう…?
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その理由はわからないけれど、
そのおかげで、彼女とまたこうして話すことができる。
空くんに感謝しないとな。
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それから俺たちは時間になって、ご飯屋さんへ行った。
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初めて彼女と食事を共にし、
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美味しそうに料理を口に入れる彼女の姿を初めてみた。
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俺は最初から奢られるつもりなんてなくて、
財布も準備万端だったけれど、
彼女は俺よりも大人で、俺がお会計をしようとした時、
もうすでにそれは支払われていた。
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俺がお金を返すと言っても彼女は受け取らなかった。
そこそこ高い店だったから__と言っても二人で5000円くらいだけど、
俺は内心ホッとした。
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そして午後8時、
夜の街が賑わいだし始まろうとしている時に、
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俺らは別れる流れになった。
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作者名:Mother | 作成日時:2020年4月3日 21時