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『それにしても、岸くんってすごいね』
絆創膏を貼ってもらっている時、彼女が言った。
「えっ、何がっすか?」
『空ね…、結構人見知り激しくて、なかなか他の人になつかなかったり、
学校でも友達があまりできてないみたいなの…。
それなのに岸くん、ものの数分であんなに仲良くなっちゃうんだもん。
びっくりしちゃった。』
彼女は心配したような表情だった。
空くんの方を見ると、まだスノーと遊んでいた。
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「そうだったんですね…。
まあ確かに俺は同い年の人よりも、
空くんくらいの年齢の子との方が相性良いのかもしれないっすね。笑
俺でよければ、全然協力しますんで!」
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そう言うと、Aさんは少し安心したように頬を緩ませていた。
『ありがとね…はいっ、できた!
水仕事するときは浸みるかもしれないけど、
1週間もすれば治ると思うよ!』
「あざっす!」
『…綺麗な手なんだから、大事にしてね?
今回は私のせいだけど…ごめんね?』
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彼女はそう言って、俺の手の平を優しく撫でた。
くすぐったさと優しさが伝わってきて、
心臓がドクドクと音を立てた。
「い、いやっ…全然っ…大丈夫っす…」
赤くなった顔を背けて返事をすると、
彼女の手は思ったよりもパッと離された。
少し寂しさを感じた。
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「んじゃ、俺はもう行くんで…!」
俺が立ち上がると、片方の手がぐっと掴まれた。
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「きし、もう行くの?」
声のする方をみると、スノーを抱えた空くんが俺の指先を掴んでいた。
その表情はやっぱりAさんに似ていて、
さっき彼女が家に来ないかと誘ってきた時の
うるんだ目にそっくりだった。
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俺は困ってAさんの方を見る。
『空、岸くんこれからお店戻らなきゃいけないの、また今度にしよ?』
「…いつくる…?」
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『ええっと…それは…』
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「あした…くる?」
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『岸くんもそんな暇じゃない「いいっすよ。」
勝手に口から出ていた。
『えっ?』
「俺でよければ、明日店終わったら来ますよ?」
その言葉に驚いた表情のAさんと、ニコニコ笑った空くんがいた。
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作者名:Mother | 作成日時:2020年4月3日 21時