2喫茶店 ページ2
小さな木でできた、年季の入った扉。
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その扉を開けるとカランカランとチャイムが鳴り
コーヒーのいい香りが漂う。
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「いらっしゃいませ」
白ひげを生やした老人のマスターが笑顔でこちらを向いていた。
「好きなお席にどうぞ」
マスターはガラスコップを拭きながら言った。
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『はい』
返事をして、二人席の壁側に座った。
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周りを見ると、おばあちゃん二人が会話をしていたり、
おじいさんが本を読んでいたりした。
そして私の隣席のテーブルには、
私と反対の通路側の席に座った若い男性がコーヒーを飲んでいた。
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若い子もいるんだ。
同じ大学の子かな?
彼はそのコーヒーの香りを嗅いで一口飲むと
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「んー、やっぱ苦っ」
と小声でささやき
少し顔をゆがませた。
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しかし、それでもテーブルの上の砂糖は使わずに飲み続けていた。
ブラックコーヒーなのかな?砂糖入れればいいのにな
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私は注文を済ませ、コーヒーを待っていた。
店内を見ると、写真にあった通り、薄暗くて、でもオレンジの間接照明が綺麗だった。
今座っているソファーもなんだか懐かしくなるような昭和の雰囲気漂うものだった。
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そうして、店内をぐるっと見ていると、隣の男の子の席に
チョコレートのパフェが運ばれてきていた。
男の子はコーヒーによって歪ませられた顔をパッと変え、
目を輝かせていた。
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「よしっ、まってましたぁー!」
手を擦り合わせて、ニコニコしている。
その表情の変わり様に私は少しクスッと笑ってしまっていた。
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それに気づいたのか、男の子はこっちをちらっと見て、真面目な顔に戻った。
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私はとっさに視線をずらし、彼と目が合わない様にした。
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作者名:Mother | 作成日時:2019年9月18日 6時